製造業で重要性が高まるソフトウェア、PLMやSLMなどで貢献–PTCの新旧CEOが方針説明

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 米PTCは、現職の会長兼CEO(最高経営責任者)のJim Heppelmann氏と、2月14日付でCEOに就任するNeil Barua氏の記者会見を開き、両氏が同社の事業方針について説明した。

 次期CEOのBarua氏は、「日本市場はPTCにとって重要な市場であり、投資を続けている」とし、「日本企業はDXの取り組みを進めざるを得ない状況にある。特に自動車産業は、EV(電気自動車)で米国や中国に先行され切迫感があり、SDV(ソフトウェア定義型車両)に対する関心が高まっており、スピードに対する危機感も高い。変革によって日本の製造業がリーダーになれる部分は大きく、PTCが支援できる部分が大きいともいえる」と発言した。

 また、同社は35年以上の歴史があり、「これまでに無いような需要の高まりの中にいる。PTCは最先端なグローバルカンパニーの設計・製造・サービスを支え、将来への見通しも明るい。顧客が求めているものを提供していくという基本戦略を継続し、これまでの勢いを継続したい」と語った。

 Barua氏は、PTCが2023年に買収したServiceMaxのCEOを務め、フィールドサービスマネジメント業界をけん引してきた経験を持つ。それ以前は、金融サービス業界向けソリューションプロバイダーのIPC SystemsのCEO、Silver Lake and Francisco Partnersの事業運営などに携わり、StreetWise Partnersの取締役会メンバーでもある。PTCのCEO就任は、2023年7月に発表された。

 PTCは、コンピューター支援設計(CAD)や製品ライフサイクル管理(PLM)、IoTアプリケーション開発プラットフォーム、拡張現実(AR)オーサリングソリューションなどを製造業向けに提供している。拡張性と相互運用性に強みを持つ製品設計ソフトウェア「Creo」、製品およびサービスのライフサイクル全体にわたる製品コンテンツと業務プロセスを一元管理する「Windchill」、工学技術計算の設計と文書化を同時に行える「Mathcad」、IoTアプリケーション開発プラットフォーム「ThingWorx」、ARオーサリングソリューション「Vuforia」、産業用接続プラットフォーム「Kepware」などをラインアップしている。製品開発の業務プロセス改革コンサルティング、製品教育サービス、テクニカルサポートを提供している。積極的な合併・買収(M&A)も進めており、2022年にはCodebeamer、2023年にはServiceMax、pure-systemsを買収していた。

 会見でBarua氏は、PTCの重要な事業領域としてアプリケーションライフサイクル管理(ALM)とサービスライフサイクル管理(SLM)を挙げた。

 ALMは、「自動車産業ではメカ(機械)中心で開発してきた体制から、ソフトウェアを中心にする企業へ変革しようとしている。顧客が自動車を選択する条件も、10年前は燃費や快適性などのメカの部分が多かったが、今は自動運転や電動化、安全性などに変化している。生き残りをかけた(業界の)変革が進行中で、PTCの知見やそれを基にしたソリューションを提供し、自動車産業の変革に貢献できる」と説明する。

 具体例としてBarua氏は、PTCとVolkswagenによる2023年の戦略的パートナーシップの締結を紹介した。Volkswagenグループは、PTCが2022年に買収した「Codebeamer」を活用。自動運転などの機能の提供に貢献しており、SDVの実現に成果を上げているとした。

 「Codebeamerは、競合製品に比べ新たなユーザーインターフェースを採用し、アジャイル開発を促進し、ガバナンス管理や規制対応にも優れている。Volkswagenグループでの採用により、さらに多くの顧客が関心を寄せている。Codebeamerが自動車産業のデファクトスタンダードになることを目指したい」と述べた。欧州では4大自動車メーカーが採用しており、韓国では1社、日本では4社が評価プロジェクトを進めているという。

 また、SLMについては、2024年の最優先投資領域と位置づけながら、「PLMに加えSLMを重視する動きが出ている。サービスは企業の成長につながる重要な収益源と位置付けられている」とした。Schneider Electricでは、エネルギー管理ソリューションでServiceMaxを活用。収集データから製品改善や保守契約の獲得などに生かしているという。

 一方で、現職のHeppelmann氏は、これまでの取り組みを振り返った。「Windchillを開発した後、PTCに買収され、それから26年を経過したが、会社としての成功を収めることができた。PTCの2023年度実績は、売上高が前年比23%増、時価総額は200億ドルを超え、過去最高の1年となった。業績は好調で成長している時に、CEOを交代した方がいいと考えた。半年間に渡り、各国を訪問し、お客さま、パートナー、社員に対して、引き継ぎについて説明した。今後はCEOの立場を離れ、仕事の旅行でなく観光旅行を楽しみたい」と述べた。

 また、「世界中の企業は変革に取り組み、製造業のDX投資も旺盛。自動車産業でもソフトウェア中心の開発の重要性が増し、持続可能性に対する要請も高まっている。環境が変化する中でデジタル化が重視され、開発期間の短縮、『インダストリー4.0』への取り組み、設計面の改善によるカーボンフットプリントの推進など、PTCが果たす役割はますます拡大している」とコメントした。

 さらに、「人は変化を嫌うため変革が進んでいない企業は、人が障壁となっていることが多い。また世代が高いと、ツールを変えるのことを好まない傾向がある。だが、古いプロセスやツールのままでは変革に遅れるだけでなく、若い人の採用が進まないという課題も生まれる。若い人たちは変えなくてはいけないという気持ちが強い。PTCも世代交代し、新たな世代のリーダーに率いてもらうことを考えた」と語った。

 会見には、2023年11月1日付でPTCジャパン 社長に就任した神谷知信氏も同席。「日本でも13年ぶりにトップが交代した。Heppelmannは、CEOに就いてからPTCを大きく成長させ、Baruaはそれを引き継ぐ。PTCは、大きく変化するタイミングにある」などと話した。

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