日立とギブリーが明かす、「Azure OpenAI」や「Microsoft Copilot」導入の成果
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日本マイクロソフトは10月16日、国内における生成AIの利用動向やパートナー企業による導入事例を披露した。
同社が2023年10月から開始した「生成AI事業化支援プログラム」は順調に推移し、160社のパートナー企業を得て日本企業のAI活用を後押ししている。同社 執行役員 常務 パートナー事業本部長 浅野智氏によると、今後1年は「参画企業を250社まで広げて、事例数を250件から300件超、AIトレーナースキリングも4000人から1万人超に増やすことで、日本全体の底上げ」に取り組むという。
生成AIの利便性は改めて述べるまでもないが、国内での個人利用率は低い。総務省の「令和6年版 情報通信白書」によれば、中国の56.3%、米国の46.3%から大きく離されて9.1%。大差が生じた理由について浅野氏は「生成AIの活用効果を期待以上に得られていない。また、『期待を大きく上回っている』と回答したのは米国が33%、日本は9%」と述べながら、PwCコンサルティングの「生成AIに関する実態調査2024」では、国内企業の64%が生成AIの活用能力を持たず、49%が知見を持たずにAI活用を推進できない。45%は活用アイデアや事例を持たないと回答した。
現状を踏まえて日本マイクロソフトは「AIを創る」「AIを使いこなす」の2つに区分して、「組織がAIを活用する目的を明確にしているか、次にデータ戦略が整っているか、最後はAI活用を推進する計画やリソースを見いだしているかが重要になる」と生成AI事業化支援プログラムを推進する意味合いを述べている。
パートナー企業である日立製作所は2023年から、生成AIに関するセンターオブエクセレンス(CoE)を用意して、業務利用ガイドラインの作成や1000件を超える利用例の共有、基盤整備や業務適用、人材育成に取り組んできた。それでも「需要の広がりは感じつつも、実際に使用する従業員は1~2割にとどまる。誰でも使えるユースケース作りが重要」と日立製作所 Generative AIセンターの吉田順氏は述べながら、コールセンターのオペレーター支援、工場の作業員や設備の保守員に対する支援など、業務のAI活用は多角的な支援が必要な段階だと語る。
しかし、同社は「Azure OpenAI Service」や「GitHub Copilot」を使用して、システム開発の生産性を30%以上向上させた。前述のコールセンターに対しても「エージェントやRAG(検索拡張生成)を活用しながら回答時間を75%短縮」しているという。同社の顧客企業に対しても、Azure OpenAIや「Azure AI Search」などを組み合わせたソフトウェアを導入することで、社内資料からの情報収集時間を50時間/月から15時間/月に短縮。某製造業に対しても同種のソフトウェアで作業時間を半減させた。
吉田氏は「生成AIがオフィスワークのみならず、現場でも使える見込みが出てきた」と意気込みを語る。現在は日本マイクロソフトの研修内容を自社に取り込み、生成AI能力を備える育成プログラム「GenAI Professional」を開始。2027年までに5万人以上の各技術者の育成を目指している。
既に500社を超える生成AI支援実績を誇るギブリー 取締役 Operation DX部門長 山川雄志氏は、「生成AIは使っても使わなくとも、今までの仕事ができてしまう。生成AIエージェントなどで工夫しないと浸透しない」と現状をつまびらかにしつつ、顧客企業である住友商事の事例を紹介した。
住友商事では従業員9000人に「Microsoft Copilot」のライセンスを導入していたが、各社と同様に生成AIの有効活用を課題にしていたものの、洗い出しで業務にフィットするゴールデンプロンプト集を作成したという。
生成AI活用の一例が発言録や議事録、報告書の作成を効率化する取り組みである。「Microsoft Teams」が作成した文字起こしデータを「Microsoft Copilot for Microsoft 365」で会議の有用な内容を抽出し、「Microsoft Word」で文章の整理を行った。コピー&ペーストで使用できるゴールデンプロンプトを用いることで1会議当たり4時間の作業時間を2時間に短縮させている。
国内企業に生成AIが定着する手法としてギブリーは「ノウハウ共有」「推進とモニタリング」「ゴールデンプロンプト創出」「成果創出」のサイクルが重要だと強調。山川氏は「経営層が現場の方々と一緒にプロンプトを作るため、工数確保や成果報酬の仕組み、ナレッジ化の仕組みが必要」と具体的な対応を説明した。
日立製作所とギブリーはMicrosoftの生成AIサービスについて、「いち早くAzure OpenAI Serviceをリリースし、(国内企業も)導入割合が非常に高い。また、『Microsoft Entra ID』でユーザーがアクセスできるデータやアプリケーションを管理できるセキュリティ面も魅力」(吉田氏)、「新技術に対する取り組みが早い。開発面もアジャイルに取り組めるプラットフォームが存在するのは大きな魅力だ」(山川氏)と述べている。