オラクル、「OCI Generative AI」を提供–データは動かさずに生成AI活用

今回は「オラクル、「OCI Generative AI」を提供–データは動かさずに生成AI活用」についてご紹介します。

関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Oracleは米国時間1月23日、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)Generative AI」の提供を発表した。OCI Generative AIは、大規模言語モデル(LLM)「Cohere」「Meta Llama 2」を統合するフルマネージドサービスで、幅広いユースケースに対応する。日本オラクルは1月24日、同サービスについて説明会を開催し、米OracleでAIプラットフォームおよびGenerative AI Service担当バイスプレジデントを務めるVinod Mamtani(ヴィノード・マムタニ)氏が登壇した。

 同サービスでは、日本語を含む100以上の言語に対応する多言語機能、GPUクラスター管理の体験向上、柔軟なファインチューニングオプションを搭載している。同サービスは「Oracle Cloud」で利用できるほか、「OCI Dedicated Region」を通じてオンプレミス環境でも利用できる。

 OCI Generative AIでは、CohereとMeta Llama 2の最新モデルをAPI呼び出し可能なマネージドサービスとして利用できる。顧客は厳重なデータセキュリティとガバナンスのもと、生成AIを自社のテクノロジースタックに簡単かつ安全に組み込めるとしている。

 Mamtani氏は「過去6~9カ月間、さまざまな規模の企業の経営陣と対話し、『自社のデータを用いてビジネスの成果を上げたい』という声が多く挙がった。しかしトレーニングモデルを一から作るのか、あるいは既にトレーニングされたものを微調整すればよいのかなど、さまざまな選択肢があり戸惑っているようだ。自社のソフトウェア構成に生成AIを組み込む方法についても悩んでいる」と企業における生成AI活用の現状を説明した。

 Oracleの生成AIイノベーションについて、同氏は(1)高性能な生成AI、(2)テクノロジースタックにおける全レイヤーへの生成AIの組み込み、(3)データ管理・セキュリティ・ガバナンスの重視――を挙げた。

 生成AIと従来型AIは、インフラストラクチャー、データプラットフォーム、サービス、アプリケーション、パートナー企業で構成されるOracle Cloudのエコシステム全体に組み込まれている(図1)。顧客は自社のデータを保存場所から動かすことを望まないため、OracleはAIやMLをデータのある場所に組み込む形を採っている。

 顧客は、検索拡張生成(RAG)技術を活用することで独自のデータを使用してこれらのモデルを改良でき、モデルに社内独自の運用を学習させることが可能。現在ベータ版であるRAGエージェントを搭載したサービス「OCI Generative AI Agents」では、LLMとデータの取り込み・検索・可視化・分析を簡単に行えるマネージドオープンソースサービス「OCI OpenSearch」上に構築されたエンタープライズサーチの力を組み合わせ、エンタープライズデータで強化された文脈に応じた検索結果を導き出せるという。

 このエージェントは、専門的なスキルを必要とせずに、ユーザーが自然言語で多様な企業データソースと対話することが可能。検索結果は元のソースデータとともに提供される。

 初期ベータリリースは、OCI OpenSearchをサポートしている。今後のリリースでは、より広範なデータ検索と集計ツールをサポートし、「Oracle Database 23c」の「AI Vector Search」や「MySQL HeatWave」の「Vector Store」へのアクセスを提供する予定。Oracleは、「Oracle Fusion Cloud Applications Suite」「Oracle NetSuite」を含むSaaSアプリケーションのスイート全体や「Oracle Health」などの業界別アプリケーションを横断し、事前構築済みエージェントアクションの提供を予定している。

 Oracleの先進的なAIインフラストラクチャーとクラウドアプリケーションの包括的なポートフォリオは、顧客の信頼を得るパワフルな組み合わせとなっているとする。同社は、統合基幹業務システム(ERP)、人材管理(HCM)、サプライチェーン管理(SCM)、顧客体験(CX)などのクラウドアプリケーションのポートフォリオ全体に生成AIを組み込むことで、顧客が既存のビジネスプロセス内でイノベーションの恩恵を受けられるようにする。

 同社は、生成AI機能をデータベースポートフォリオにも組み込み、顧客が独自のAIベースのアプリケーションを構築できるようにする。「Autonomous Database Select AI」により、顧客は自社のエンタープライズデータと生成AIの生産性・創造性を組み合わせ、アプリケーション開発を加速して新たなビジネスソリューションを生み出せるという。

 Oracleは、Hugging Faceの「Transformers」や「PyTorch」などのオープンソースライブラリーを使用したLLMの構築・トレーニング・導入・管理を支援するため、データサイエンティスト向けのフルマネージドプラットフォーム「OCI Data Science」の機能も拡張する。2月にベータ版のリリースが予定されている「OCI Data Science AI Quick Actions」の新機能は、MetaやMistral AIなどの主要プロバイダーを含む、さまざまなオープンソースLLMへのノーコードでのアクセスを可能にする。

 「今後はCohereとMetaのLLMでサービスを展開するのか、あるいは他のLLMも採用し、顧客の選択肢を広げていくのか」という質問に対して、Mamtani氏は「われわれはお客さまの問題を解決することに注力したい。お客さまの要望を基に、その都度最適なソリューションを提供する。最近はCohereとLlama 2に注目が集まっていると認識しているので、両LLMを生成AIサービスに採用している。われわれは常に顧客に向き合い、彼らにとって最善の結果をもたらすことに取り組む」と説明した。

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