三菱電機、教師データ作成不要の「行動分析AI」を開発

今回は「三菱電機、教師データ作成不要の「行動分析AI」を開発」についてご紹介します。

関連ワード (製造 x IT等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 三菱電機は、教師データの作成が不要で短時間に作業分析が可能な「行動分析AI」を開発したと発表した。同社のAI技術「Maisart(マイサート)」の一つに位置付けており、同技術を活用することで、製造現場における人の作業分析にかかる時間を最大99%削減することができるという。

 記者会見した先端技術総合研究所長の高林幹夫氏は、「製造現場の作業で同じ身体動作が繰り返し行われていることに着目し、循環する身体動作の確率的生成モデルを世界で初めて作業分析に適用した。教師データが不要な作業分析を実現したことで、分析時間と導入コストの削減に貢献し、製造現場での生産性向上に貢献できる」と述べた。作業分析に時間がかかるといった課題、ミスや作業漏れの発生削減への取り組み、ベテラン作業者の退職に伴う技術伝承の課題などを解決できるとする。

 同技術で実現する機能の一部は、2024年度中に三菱電機の製造拠点のほか、シスメックスや住友ゴム工業が実証導入を行う予定で、これらの成果をもとに、2025年度以降の製品化を目指す。

 行動分析AIでは、製造現場での一連の作業を、一般的なネットワークカメラで撮影した動画から骨格を検知し、作業者の両手の位置をはじめとした身体動作を波形データとして取得する。循環する身体動作の確率的生成モデルを適用した行動分析AIにより、波形データを分析するとともに、1サイクルの作業にかかるおおよその時間を事前情報としてAIに入力するだけで、作業中の身体動作から「部品の取り出し」や「ネジ締め」などに相当する要素作業を自動的に発見し、作業分析の結果を得られるとしている。

 確率的生成モデルとは、データを確率変数として扱い、観測データの生成過程をモデル化したAIを指す。類似した波形データは同じ要素作業と判断し、類似しない波形を別の要素作業に分類して、要素作業の切れ目を見つけ、作業を分析するという。

 これにより、一般的な作業分析AIで必要だった教師データの作成が不要になり、作業分析にかかる時間を大幅に短縮できる。動画を見返す作業も不要だ。また、波形データと動画データを同時に表示することで、動画によって作業を確認し、それぞれに「部品の取り出し」や「ネジ締め」といった名前を短時間で登録できる。さらに、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)によって、適切な粒度で画像を編集することができる。

 三先端技術総合研究所 センサ情報処理システム技術部長の蔦田広幸氏は、「製造現場で自動化が進展する一方、人が作業するアナログ工程が数多く存在しており、作業時間や品質にばらつきが生じ、これが工程全体の物流のネックになる可能性がある。そのため、部品の取り出しやネジ締めなど、要素作業の時間を定量化し、ばらつきの原因を把握し、改善する手法が用いられている。だが、この手法では目視確認をする必要があり、時間がかかる課題があった。さらに、この課題の解決にAIが用いられてきたものの、教師データの作成が人手で行われており、長い時間と手間がかかっていた。今回の行動分析AIはこの部分を解決できる」と説明した。

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