GitHub、開発者体験について調査–集中して業務を行う時間の確保で生産性が50％向上
今回は「GitHub、開発者体験について調査–集中して業務を行う時間の確保で生産性が50％向上」についてご紹介します。
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GitHubは米国時間1月23日、開発者エクスペリエンス（DevEx）から得られる利点を示す調査結果を発表した。
開発者が複雑なタスクを解決し、仲間と協力し、創造性を発揮できるよう、卓越したDevExを提供することが、ビジネスにおいて重要であるということは明白であり、顧客からも同様の意見が寄せられていたとGitHub。しかし、事例となる証拠はあっても、「DevExを改善すると得られるビジネスメリットをデータで示せるか」という質問に対し、満足できるデータを示すことはこれまでできなかったという。
GitHubは、DevEx測定を支援するDXと提携し、さまざまな業界の20社以上の企業を対象に調査を実施。DevExの主な要素であるフロー状態（自分の作業に没頭し、創造性、革新性、幸福感が高まる状態）、認知負荷、フィードバックループが、生産性の向上とイノベーションの推進により、個人、チーム、組織の成果にどのような影響を与えるのかを統計分析を用いて示した。
調査によると、深く集中して業務を行う時間を大幅に確保した開発者は、生産性が50％向上するという。価値の高い仕事をするには、「Slack」のメッセージ、ミーティング、同僚からのヘルプ要請など、仕事の妨げとなるものを最小限に抑え、フロー状態にとどまることが極めて重要であることが分かった。
まとまった時間を確保することは容易ではなく、特にチーム全員が同一のタイムゾーンにいない場合などは更に困難となるが、開発者がフロー状態を最大化できる環境を提供することが、ビジネスの利益につながると同社は述べる。
「コーディングを最適化するには、適切な環境が必要。開発者がフロー状態に入り、その状態を維持できるようにする方策を導入することは、勝利への近道」とGitHubのスタッフリサーチャーで同調査の共同執筆者であるEirini Kalliamvakou博士はコメントする。
仕事に魅力を感じている開発者は、生産性を30％高く感じている。この結果は、組織がタスクの配分を見直す際に役立てられるという。燃え尽き症候群につながるような、あまり好ましくないプロジェクトに、同じ開発者を継続して従事させたり、退屈なタスクや会社のミッションからかけ離れた作業を繰り返させたりする状況は避けるべきだと同社は説く。開発者の仕事を最適化したいのであれば、チームが少なくともほとんどの時間、自分が担当するプロジェクトに高揚できる環境が必要とされるという。
Microsoftのパートナーリサーチャーで、同調査の共同執筆者であるNicole Forsgren博士は、「深い仕事と刺激的かつ魅力的なプロジェクトに従事してもらうことは、生産性を高めるために企業ができる特に大きな取り組みの1つ」と語る。
自分が作業しているコードを高度に理解していると答えた開発者は、理解度が低い・理解を全くしていない開発者よりも、42％高く生産性を感じている。理解度の低さは、ドキュメントの不備や古さ、オンボーディング不足、AIによる急激なイノベーションなど、さまざまな要因から生じると同社は述べる。
「開発者なら誰でも、コードやそのコンテキストをよく理解できないことにフラストレーションを感じた経験があるはずだ。非常に多くのコードが相互接続され、複数の開発者によって開発されているため、『理解しやすさ』は卓越したDevExを持つことが非常に重要である理由の一つ」とForsgren博士はいい、「GitHub Copilotのような新たなテクノロジーは、開発者がコードをより深く理解することを助け、生産性の向上を支援する」とし、さらに優れたツールの出番となる点を指摘する。
直感的なプロセスを持つ開発者は、自らを50％高く革新的だと感じている。直感的で簡単なプロセスがイノベーションを促進する一方、煩雑なプロセスが時間を浪費し、フラストレーションを生むのは当然であり、「これは必ずしもテクノロジーだけの話ではない。開発者にとって摩擦や障害となるものを取り除く方法が分かれば、多くのものを解き放つことができる」とForsgren博士は付け加える。
ソフトウェア開発の世界では、効率的なフィードバックループが不可欠だが、コードの納品までの時間が短いと回答した開発者は、そうでない開発者よりも20％革新的だと感じているという。「フィードバックを速やかに得ることで、好奇心や意欲を維持したまま、迅速に作業を進めることができる。開発者はフロー状態を維持し、次の素晴らしいものを生み出すことができる」とKalliamvakou博士は分析する。
フィードバックループの改善に注力することは、組織全体の有効性だけでなく、開発者の満足度を向上させる。さらに、開発者の質問に対してより短い時間で回答するチームは、技術的負債が50％少なくなっている。
優れた文書作成は利益を生むというとGitHubは述べ、開発者から質問として頻出するものを文書化し、必要な回答を容易に見つけられるツールを導入することで、開発者はアジリティー（俊敏性）を高めることができると続ける。「機敏な開発者が俊敏なチームと組織を生む」（同社）
Forsgren博士はさらに、「開発者はフィードバックを待たなければならないことがよくある。作業が中断され、常に足止めされる。面倒なプロセスを考えなければならない。しかし、すぐにコラボレーションができ、作業が中断されず、直感的にテクノロジーを使って、フロー状態に身を置くことができれば、問題を解決し創造性を発揮して、仕事を成し遂げることができる。これは、チームと組織全体にメリットをもたらす」と語る。
ソフトウェアの開発にはイノベーションが不可欠であり、あらゆる業界において、企業は目標を達成するために、高品質のソフトウェアを開発して維持する必要があるとGitHubはいう。そのためには、DevExへの投資は必須だと同社は強調する。
「もしあなたが収益性と革新性を重視するビジネスリーダーなら、卓越したDevExを実現することは、あなたが自由に行える重要な手段の1つだ。今回公表した調査結果は、ようやく、より大きなコミュニティーにこのことを訴えるために必要な、信頼できるデータとエビデンスを与えてくれるものだ」とKalliamvakou博士は述べる。