日立製作所、2023年度第3四半期決算は実質“増収増益”–時価総額10兆円超もまだまだ

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 日立製作所は1月31日、2023年度第3四半期(2023年4月~12月)の連結業績を発表した。売上収益は前年同期比11.0%減の7兆2181億円、調整後営業利益は0.3%減の5257億円の減収減益になった。だが、2023年10月に連結対象から外れた日立Astemoを除いた3セクター(デジタルシステム&サービス、グリーンエナジー&モビリティ、コネクティブインダストリーズ)の売上収益は前年同期比12%増の6兆537億円、Adjusted EBITAは834億円増の5815億円と増収増益になった。同社が重要指標と位置付ける3のセクターの数値は極めて好調な結果となっている。

 日立製作所は、2024年1月に初めて時価総額が10兆円を超えた。今回の業績は、その底力を見せつけた格好だ。決算発表した代表執行役 執行役副社長 兼 CFO(最高財務責任者)の河村芳彦氏は、「時価総額10兆円に到達したとはいえ、まだ十分ではない。日本のレベルでは上から数えて十数番目だが、グローバルで戦うことを考えれば途中経過でしかない。その上を目指す」と、今後の成長戦略に意欲を見せた。

 実際に日立が戦う土俵はグローバルになっている。今第3四半期決算は、売上収益の61%を海外事業が占めており、過去5年で約10ポイント上昇している。また、4月1日付予定の役員人事では、外国人役員の登用が目立つ。売上比率に比べ外国人役員比率が少ないという指摘もあるが、ここからもグローバルでの成長を視野に入れた体制作りを進めていることが分かる。

 河村氏は、「継続的に成長分野へ資源を集中していくことが基本。成長するテクノロジーやプロダクト、顧客、地域に集中投資をしていく。効率化も大切で、アセットの高度利用もポイントになる」などと今後の成長戦略の基本姿勢を述べた。

 今回の業績を受けて、重要な3つのセクターについては、2023年度の通期業績見通しを上方修正した。売上収益は前回公表値に比べて2856億円増、前年比8%増となる8兆2856億円、Adjusted EBITAは113億円増額とし、前年比1044億円増の8293億円とした。これに伴い、全社連結業績の見通しも上方修正している。

 河村氏は、「デジタルシステム&サービスや日立エナジーを中心に受注が非常に好調であり、一般送配電事業者10社が設立した送配電システムズから、次期中央給電指令所システムを受注するなど、エポックメイキングな案件を受注している」とコメント。同システムでは、これまでは分散していた全国の電力需給調整システムを共有し、電力の安定供給に貢献する大規模案件になるという。

 また、デジタルシステム&サービスでは、第3四半期累計受注高が前年同期比9%増の2兆641億円となり、受注残高が約1兆5000億円に到達。同セクターにおける受注の好調ぶりも示して見せた。

 デジタルシステム&サービスは、第3四半期(2023年10~12月)単体業績も好調で、「Adjusted EBITAは870億円で、同セクターでは過去最高を達成」(河村氏)という。通期見通しも、今回110億円増の上方修正を発表。これも過去最高となる3210億円を見込んでいる。

 また、デジタルシステム&サービスのサブセグメントでも、第3四半期実績でフロントビジネスとITサービスは増収増益、サービス&プラットフォームの売上収益は前年並だったが、Adjusted EBITAは増益で、全ての部門で好調だ。

 中でもフロントビジネスは、金融や公共、エネルギー分野で大口のシステム更新案件に対応したことに加え、「Lumada」事業が堅調に推移。プロジェクト管理の強化もあり、12.5%の高い水準の利益率につながっている。今後もさらに利益率を高めることができると河村氏は手応えを示す。また、ITサービスでは、セキュリティやクラウド関連に加えて、製造および流通向けサービスなどのLumada事業が好調に推移。サービス&プラットフォームは、GlobalLogicの成長やストレージ販売の回復、国内DXおよびクラウドサービスの増加が貢献したという。なお、中国でのストレージ販売は、政府主導で国内ベンダーの製品を採用する動きが影響し、減少している。

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