セゾン情報、「HULFT10」を発表–第1弾は「Amazon ECS」対応のコンテナー版を提供
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セゾン情報システムズは2月9日、ファイル転送ツールの最新版「HULFT10」を発表した。10年ぶりのメジャーバージョンアップで、ハイブリッド環境での利用を想定して開発。2024年度に稼働環境に応じた製品の発売を予定している。第1弾として、同日から「Amazon Elastic Container Service」(Amazon ECS)に対応した「HULFT10 for Container Services」を「AWS Marketplace」で提供している。
営業本部 プロダクト企画部 プロダクト企画課 プロダクトマネージャーの樋口義久氏は、「HULFT」のリリースから30年、前版「HULFT8」のリリースから10年がたち、その間の環境変化の中で「HULFTの価値が提供できていない境界線が生まれている」(同氏)といい、HULFT10の開発テーマを「境界線を越えて、進化する」にしたと説明。
具体的には、「コンテナー対応、オートスケール」「インターネットダイレクト接続」「APIによる外部システム連携」「AWS Marketplace/従量課金」「ユーザーインターフェース/エクスペリエンス(UI/UX)の刷新/ベストプラクティスに準拠」などを挙げる。
製品ラインアップは、従来のバージョンアップ版となる「HULFT10」(「Linux」「Windows」「zOS」「IBMi」向け)、コンテナーでシステム構築された環境に導入可能なHULFT10 for Container Services、コンテナーでシステム構築された自社環境に導入可能な「HULFT10 for Container Platform」、機能が限定されたコマンドモジュール形式の「HULFT10 CLI(仮称)」の4つになる。HULFT10 for Container Services以外の製品については2024年第3四半期のリリースを予定している。
HULFT10 for Container Servicesは2月9日から提供が始まっている。各クラウドサービスのマーケットプレースからコンテナーイメージとして利用でき、現在はAWS Marketplaceに対応。今後は、「Microsoft Azure」や「Google Cloud」への対応も検討するとしている。
HULFT10 for Container Servicesは、HULFTの管理情報や履歴などを管理・制御する管理コンテナー、HULFTによるファイル転送をベースにしたデータ連携を実施する転送コンテナーで構成される。管理コンテナーでは、APIによるジョブ連携や転送コンテナーの制御などを管理するウェブ画面が提供される。「管理情報や履歴は、コンテナーから独立した永続領域に保存され、別コンテナーへの引き継ぎやバックアップが容易」(樋口氏)という。
転送コンテナーは、転送負荷に応じて自動で転送コンテナーが起動するため、必要なリソースを柔軟に確保でき、万一障害が発生した場合でも別コンテナーが自動起動するため、サービスの可用性と業務継続性を維持できるという。また、HULFT8との通信を保証しているため、HULFT連携を利用したデータ連携基盤も構築可能となっている。
HULFT10の新機能としては、HULFTだけでインターネットダイレクト接続を実現する「HULFT over WSS」と双方向のIP管理とポート開放が不要になる「集信要求」が紹介された。
HULFT over WSSは、今までの転送データ暗号に加え、通信経路暗号によるセキュリティ強化を可能にする。さらに、クラウドベンダーのロードバランサーを活用することで、構築・運用コストを削減するという。集信要求では、データ受信側のポート公開不要でファイル取得が可能になり、データ送信側がデータ受信側のIP情報を知らなくてもデータ受信可能になる。
新機能を想定した利用シーンとしては、オンプレミスとクラウドの間の業務システム連携がある。現行システムを改修せずクラウド連携が可能になり、オンプレミス側の構成を意識することもない。また、環境個別のセキュリティ対策も不要となり、環境別に仮想施設網(VPN)を引かなくても安全にシステム連携できるという。
HULFT10 for Container ServicesのAWS Marketplaceでの利用価格は、時間単位の従量課金制で、1コンテナーで1時間当たり2.3ドルから。2024年度第2四半期には年額契約を開始する予定で、その場合は年間4993.2ドル。