ジュニパー、AI型ネットワーク運用管理の拡張を発表–企業向け展開を加速

今回は「ジュニパー、AI型ネットワーク運用管理の拡張を発表–企業向け展開を加速」についてご紹介します。

関連ワード (ネットワーク等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 ジュニパーネットワークスは3月1日、都内で事業戦略説明会を開催し、近年注力するAIを用いたネットワーク運用管理ソリューションの企業への展開を強化すると発表した。適用先をデータセンターにも拡張していくという。

 同社は、2019年にクラウド型の無線LAN管理技術を手掛けるMist Systemsを買収し、Mistの技術を生かしたAI型のネットワーク運用管理の「Juniper Mist」として展開する。Juniper Mistでは、各種ネットワーク機器のデータをクラウドに集約して分析し、ネットワークの安定運用を支援するAIモデルなどを作成、最適化してユーザーが利用できるようにしている。また、Juniper Mist上のデータを利用して、ネットワーク管理者ユーザーの業務を支援する仮想ネットワークアシスタント(VNA)ツール「Marvis」なども提供している(関連記事)。

 説明会で代表取締役社長の古屋知弘氏は、「当社のあらゆるソリューションがAIネイティブで開発されている。AIネイティブなネットワークにより、ITインフラの運用に“革命”を起こしたい」と切り出した。

 ビジネス状況は、2023会計年度の売上高が55億6500万ドルとなり、大規模組織の顧客(エンタープライズ)の構成比が46%になった。古屋氏は、「直近3年の全社売上高は年率5%以上の成長ペースを維持している。10年前は通信事業者向けビジネスが中心だったが、クラウドやエンタープライズに拡大し、エンタープライズは年率27%の成長ペースになる。AI型のネットワーク運用管理がけん引している」と説明。導入先の業種は、大学や通信事業者、公共団体、衣料製造販売、不動産開発、金融、都市開発など多岐に渡っているとした。

 2024会計年度の事業戦略は、この好業績の流れを加速させるべく、Juniper Mistのエンタープライズ向けの展開を強化する。大手システムインテグレーターや通信事業者との協業を通じて販売を拡大するとし、特に従来は顧客の立場だった通信事業者がビジネスパートナーにもなりつつあるとのこと。古屋氏は、一例として、NTT西日本と共同で手掛けた大阪府農協電算センター(JA大阪電算)の導入事例を挙げた。重点とする拡販先は、大手製造、多拠点を展開する小売と流通、不動産および学術公共の3つとした。

 Juniper Mistの適用領域は、無線LANと有線LAN、SD-WAN、ネットワークアクセス制御(NAC)となっており、今回はデータセンターへの拡張を発表。Marvisをデータセンターのネットワーク運用に対応させたほか、無線LAN領域では無線LANアクセスポイントでMarvisを実行できる「Marvis Mini」をラインアップに加えた。

 これらについて解説した副社長 エンタープライズビジネス統括本部長 兼 技術統括本部長の上田昌広氏によると、Marvis Miniを活用することで、ネットワーク環境のアップデートや設定変更などを実施する際に、事前にMarvis Miniでシミュレーションを実行して、予測される影響を提示する。

 従来は、管理者らが入念に検証を行った上で慎重に手作業で行っていたが、予期せず通信ができない、パフォーマンスが低下するなどの問題が起きれば、原因究明や対処、解決に多くの時間や労力を費やしてしまう。上田氏は、Juniper Mistで蓄積した膨大なネットワーク運用のデータとAIによる最適化モデルを用いる事前のシミュレーションで、問題発生のリスクが大幅に低減し、ネットワークの運用品質を向上できると強調した。

 また、Marvisのデータセンターネットワークへの対応では、運用管理のさらなる効率化や自動化、信頼性の向上が図られるとする。この領域では、2021年に買収したインテントベースのネットワーク管理ソリューションの「Apstra」を展開しているが、今後はネットワーク運用管理のユーザーインターフェースなどでMarvisとApstraを統合していくとしている。

 なお、米国時間1月9日にHewlett Packard Enterprise(HPE)がJuniper Networksを約140億ドル(約2兆1000億円)で買収すると発表。HPEは、ネットワーキング事業部門「HPE Aruba Networking」を展開しており、買収完了後は、Juniperの最高経営責任者(CEO)を務めるRami Rahim氏が新たなHPEのネットワーキング事業部門を統括することになっている。

 古屋氏は、「米国で発表している内容の通りだが、統合後の部門は、われわれ側のトップ(Rami Rahim氏)がけん引するので、その流れになると理解している」とコメント。上田氏も同様にコメントし、「統合後も(Juniperが推進している)AIベースのネットワーク運用が推進されることを期待している」と話した。

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