フォーミュラE ジャガーチームに聞く、デジタルツインとITの活用

今回は「フォーミュラE ジャガーチームに聞く、デジタルツインとITの活用」についてご紹介します。

関連ワード (ビッグデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 電気自動車レースの最高峰「Formula e」に参戦するJaguar TCS Racingチームは、レース戦略の立案・検証などにクラウドやシミュレーションによるデジタルツインのアプローチを活用している。日本で初開催となった東京会場で同チームに取り組みを聞いた。

 Formula eは、都市環境への負担が少ないクリーンな電気自動車の普及を目的に、電気モーターとバッテリーを使用する走行時の排出ガスのない電気自動車レースの最高峰として、2014年にスタートした。10年目となる2013~2014年シーズンは、10カ国で16戦のレースが開催され、3月30日には東京・ビッグサイトの施設内道路と隣接の公道を組み合わせた約2.58kmのコースによる「東京 E-Prix」が行われた。東京 E-Prixは、公道を用いる本格的な自動車レースとしては日本初開催で話題を集めた。

 Formula eでは、環境対策の面から従来の自動車レースとの違いが多い。レースに使用する車両やタイヤ、バッテリーは、全チームが同一の製品を利用する。他方で、車両の動力となるモーターや周辺システムは、車両規則の範囲で独自開発が認められており、大手自動車メーカー各社が参入している。現在のレースカーは、2022~2023年シーズンに導入された第3世代(Gen3)仕様で、モーターの最高出力は350kW、最高速度は理論値で時速322kmに達する。

 レースカーのモーターは車体の前後2カ所に配備され、後方のモーターは駆動と発電(回生)、前方のモーターは回生のみを行う。後方のモーターが駆動して加速をするが、コーナーなどで減速する時は、前後のモーターが発電機として機能し、バッテリーに充電する。エネルギー回生率は40%に上る。つまりレースカーは、フル充電の状態でただ電力を消費しながら走行するわけではなく、走行中にも4割の電力を発電している。

 Formula eのコースは、大半が都市の公道をレース期間時にだけ特別に閉鎖して構築される。このため、直線と直角に近い急カーブ(通常は交差点であるなど)を組み合わせたレイアウトになり、急加速と急減速を強いられる走行となることからモーターの負担は大きく、バッテリー消費も激しいものとなる。

 レースは、基本的に土曜日の1日開催(日曜日と合わせ2レース開催もある)となり、練習走行と対戦形式を取り入れたコース1周の速さを競う予選(決勝のスタート順位決め)、規定周回数全体での順位を競う決勝(東京 E-Prixは33周)のセッションで構成される。決勝では、一定時間内にモーターの最高出力で走行する「アタックモード」を2回(のべ8分間)行うことが義務付けられている。走行中に発電を行うとはいえ、最高出力に近い状態で走り続ければすぐにバッテリーが枯渇して走行不能になるため、Formula eのレースで勝利するには、エネルギーマネージメント(電力管理)が極めて重要になっている。

 Jaguar TCS Racingは、2016~2017シーズンからFormula eに参戦し、今回の東京 E-Prixで通算100レースの節目を迎えた。ドライバーは、同チーム参戦時から在籍するニュージーランド出身のMitch Evans選手と、同じくニュージーランド出身で日本でのレースも豊富なNick Cassidy選手の2人体制となる。現在のJaguarはインドのTataグループの企業で、同チームのITについては、同じTataグループのTata Consultancy Services(TCS)がテクノロジーパートナーとなって支援を行っている。

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