ServiceNow、日常業務に生成AIを組み込む一助に–「Now Platform」最新版を発表
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ServiceNow Japanは4月3日、「Now Platform」の最新版である「Washington, D.C.」のリリースに関して記者説明会を開催した。同バージョンでは、Now Platformに組み込まれた生成AI「Now Assist」によって強化したIT運用管理(ITOM)や、販売・受注管理の「Sales and Order Management」、「Platform Analytics」などの機能を追加した。
説明会に登壇した常務執行役員 チーフオペレーティングオフィサーの原智宏氏は、Washington, D.C.のリリースについて「インテリジェントな自動化を進め、新しいテクノロジーにエンドユーザーが迷うことなく利用できるよりシンプルなエクスペリエンスを継続して提供していく。こういったシステムがカバーする業務領域を継続的に拡張していく。これが大きなコンセプトだ」と説明する。
ServiceNowは、約7年間にわたり世界中のAIイノベーター企業との戦略的なM&Aを実施しており、2018年から生成AIおよび用途特化型の大規模言語モデル(LLM)に関する70以上の研究成果を公開している。2023年には、Now Platform上でNow Assistの提供を開始した。
原氏は、「当社が常に強調しているのは、生成AIを日常業務にどのように組み込んでいくのかということ」だという。同社は、単一のプラットフォームを通してエンドユーザーの生産性を高めていくことをミッションにしている。同氏はこのミッションを踏まえ、「生成AIを製品として提供するだけでなく、日常業務に組み込むためのユースケースを提供することで、エンドユーザーがシステムを通して行う業務のエクスペリエンスを変革し、それを通して生産性を向上させ、ひいては組織の変化対応力に対して俊敏性を高める。このような取り組みに合ったユースケースを優先的に製品に組み込み、リリースしている」と述べた。
生成AIのユースケースとしては、「チャット」や、やりとりにおける文脈を理解した「回答」の提供、また「情報検索」やサマリー作成などの「自動生成」が挙げられる。同氏は「日々の業務に円滑に生成AIを組み込むには、ペルソナに沿った機能を提供することが必要だ」とする。
例えば、財務担当者やサプライチェーン担当者の業務に生成AIを活用することで、ERPシステムにおける発注書の起案や入力などの反復的なタスクを自動化できるとしている。ITサービス部門では、生成AIがインシデントのチケットを自動で起票し、問題が迅速に解決されるように支援したり、ディベロッパー向けには、生成AIがコードテンプレートを作成し、プログラミングを自動化できたりするという。
原氏は、「ヒューマンセントリック・アプローチ」が生成AI活用のカギになるのだと説明。これは、エンドユーザーを中心に考え、複数の業務をこなすエンドユーザーに対してどのように効率的な就業環境を提供していくか、という考え。このアプローチに生成AIを組み込むことが必要だという。
つまり、エンドユーザーが業務ごとに利用の形態をイチから考えるのではなく、ServiceNowを通して生成AIを利用することで、正しいガバナンスと管理の下、安全な形で生成AIを利用できる。そして利用されるデータも正しく、セキュアに管理されるのだという。また、エンドユーザーが意図しない回答や業務に貢献しない情報が生成AIから入手されることを抑止するためには、ユーザー体験に生成AIをどのように組み込むかのガイドラインも必要だとする。加えて、計画的かつ段階的に、業務に生成AIを組み込むことでAIを利用しているという意識を持つことなく、日常業務が自然と高度化され、より生産性の高いものになるとしている。
同社は、ServiceNowを利用する顧客に対して、Now Assistの恩恵を早い段階から享受してもらうために、製品の機能として提供しているさまざまな生成AI機能群をロードマップ案として企業に示している。これにより、全てのエンドユーザーに対してNow Assistが提供する機能を素早く享受でき、生産性を引き上げる一助になるとしている。
原氏は「ビジネス上の課題を当社が持つデジタルワークフローを通して、業務をデジタル化していくことで解決したい。これが当社の目指す姿だ。そして生成AIを組み込むことで、プラットフォーム上に蓄積された非構造データを活用しながら業務のボトルネックを改善し、新たな業務の在り方をプラットフォーム側から提案していくサイクルを回すことで、自動化を越えてより継続的な改善をサポートしていくような利用形態に当社のAIを位置付けたい。これが、Now Platformに対して生成AIを内製で組み込んでいる大きな意味合いだ」とした。
説明会では、ServiceNow Japan マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長の古谷隆一氏が新機能のハイライトとして、「Now Assist for IT Operations Management(ITOM)AIOps」「Sales and Order Management」「Platform Analytics」「Security Posture Control」(SPC)を紹介した。
Now Assist for ITOMは、専門的で可読性の低いさまざまな機器が発するシステムアラートを、生成AIによって瞬時に明瞭な自然言語に変換して提示をすることで、潜在的な問題をIT管理者が素早く特定し、解決策を提示できるようにする。これにより、担当者の1件当たりの対応時間を大幅に短縮できるとしている。
Sales and Order Managementは、販売前の商談から見積書の作成、オーダーの受注、フルフィルメント、販売後の顧客エンゲージメントまで、顧客ライフサイクル全体を管理するための一連のアプリケーションを提供する。販売機会から更新までのライフサイクルをNow Platform上で管理し、フロントオフィス、ミドルオフィス、バックオフィスや各チームを一つのシステムで結びつけ、一気通貫のバリューストリームを構築できるという。
Platform Analyticsは、Now Platform全体にわたる統一された分析とレポート機能を提供する。単一のダッシュボードにより、プラットフォーム上のデータを必要な形にして取り出し、分析だけでなく、ワークフローの自動化を行う「Workflow Studio」との連携により、条件によるトリガーを作成して分析による洞察だけでなく、アクションにつなげることができるという。
Security Posture Controlでは、オンプレミスのデバイスやクラウドの仮想マシンなどの組織内のIT資産においてリスクが高い資産を特定し、本来であればセキュリティツールの適用範囲と考えられる想定と現状のギャップを可視化する。発見された是正が必要な資産に対して脆弱(ぜいじゃく)性の修復や拡張の適用といったワークフローを自動化する。
Washington, D.C.のリリースによって、ServiceNowは生産性の改善とイノベーションの推進をサポートし、より直感的で一貫性のあるエンドユーザー体験を通して、エンドユーザーの働き方や業務体験の引き上げとコスト削減を両立させるという。加えて、組織のアジリティーの向上に寄与する構えだ。