F1日本GPに見る、世界中のファン体験を支えるITインフラの運用と進化

今回は「F1日本GPに見る、世界中のファン体験を支えるITインフラの運用と進化」についてご紹介します。

関連ワード (ITインフラ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 自動車レースの最高峰と言われる「Formula 1」(F1)は、年間20以上のレース(GP)が開催される。その模様はテレビやインターネットで約180カ国・地域に配信され、視聴するF1ファンは約15億人に上る。白熱の展開が繰り広げられるレースの臨場感を“体験”としてファンに提供するF1のITインフラは、ミッションクリティカルだ(関連記事)。F1の公式テクニカルパートナーとしてIT機器を供給するLenovoから再び機会を得て、4月5~7日に三重県・鈴鹿サーキットで開催されたF1第4戦の日本GPで、F1のITインフラの最新状況や運用現場を取材した。

 F1レースの魅力は、極めて優れた運転技術を持つプロドライバーが最高時速300km以上で走行可能なF1マシンを駆使して1000分の1秒の速さを競い合うスピード感や、エンジンと電気モーターで構成されるハイブリッド型のパワーユニットから発生される迫力あふれる音にあるだろう。こうした要素は、レースが行われるサーキットの現場でなければなかなか体験できないが、F1ではテクノロジーを活用してディスプレイ画面を通じたファン体験の向上に取り組み続けている。

 レースの映像は、サーキットを駆け回るF1マシンやタイヤ交換などのピット作業などの様子だけでなく、F1マシンに搭載されたオンボードカメラからの高速走行の様子、さらにはドライバーが装着するヘルメット内部に設置された超小型カメラからのドライバー視点の映像もある。Lenovoによれば、レース中継に使用されるカメラは、4K超高精細(UHD)やワイヤレス型、ヘリコプター搭載型、オンボード型など50台以上という。

 また、サーキットのコースやピット、観客スタンドなどの各所に配備された約150本のマイクからの臨場感あふれる音を配信し、ドライバーとチームスタッフ間の無線通信によるレース中の生々しい会話、中継するアナウンサーやレポーターの音声などもファンを魅了する。

 F1のファン体験に不可欠な映像や音声の技術は、数十年以上続くF1のテレビ中継などで進化してきたが、近年に加わったのがデータサービスになる。

 F1マシンには数百のセンサーが搭載され、多種多様なデータを取得可能だが、その多くはF1チームの機密情報であり、かつては走行中のF1マシンの速度やエンジンの回転数といった一部のデータをテレビ中継などに活用するだけだった。現在では、ドライバーがアクセルやブレーキをどのくらい踏んでいるのか、コーナーを曲がっている間にF1マシンやドライバーにどの程度の横方向の重力が及んでいるのか(F1日本GPでは最大で4Gほどになる)といったより多くの種類のデータが活用されている。

 特に約300kmを走る決勝レースは、優勝や上位入賞に向けて各チームが各種データやライバルの状況などをリアルタイムに分析して、シミュレーションを行いながら、戦略を立案・実行する。例えば、決勝レース中に1回以上のタイヤ交換が義務付けられているため、チームは現在使用中のタイヤの消耗、競争相手とのタイム差、ドライバーの感触、天候やコース路面などの状況といった各種データを分析し、タイヤ交換を含むピットでの時間ロスを考慮して、競争相手より1000分の1秒でも早く前に出ることのできるタイミングを判断する。こうしたデータや分析、予想もファンに提供され、ファンは独自にも予想をして楽しむ。

 F1を運営する英Formula 1 Groupは、こうしたファン体験を支える設備として、ロンドン南部のビギン・ヒルに「Media and Technology Centre」(M&TC)、各サーキットの現場に「Event Technical Centre」(ETC)を構築し、運用している。

 Lenovoは、2022年にF1と複数年にわたる公式パートナー契約を締結し、2023年からIT機器を供給する。2024年シーズンは、PCでは「ThinkPad」「IdeaPad」、ワークステーションでは「ThinkPad」「ThinkStation」「ThinkCentre」、スマートフォンでは「Motorola Edge」「Motorola RAZR」「ThinkPhone」、タブレット端末では「Lenovo Tab」、モニターでは「ThinkVision」、サーバーなどでは「ThinkSystem」シリーズなどを提供する。また、IT環境の構築や運用を支援するコンサルティングサービス、古いIT機器の回収・再資源化などを支援するアセットリカバリーサービスなども提供している。

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