「GIGAスクール構想」の裏で増える不登校–レノボと大阪教育大が手渡す“学びの綱”
今回は「「GIGAスクール構想」の裏で増える不登校–レノボと大阪教育大が手渡す“学びの綱”」についてご紹介します。
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レノボ・ジャパン(レノボ)と大阪教育大学は4月16日、包括連携協定を締結した。両者は、同13日に天王寺キャンパス内に開設した「みらい教育共創館」において、(1)メタバース技術を活用した不登校の児童生徒への学習支援、(2)デジタルを活用した授業を運営できる教員の育成――に取り組む(写真1)。
大阪教育大学は、2024年で創基150年を迎える西日本最大規模の教員養成大学。教員志望者の教員就職率は99.5%に上り、天王寺/池田/平野地区に計11の付属学校園を擁する。レノボは、長年にわたって教育現場におけるコンテンツの提供や運用支援に注力しており、「GIGAスクール構想」では全国の小中学生に配布されたPC端末約900万台のうち約200万台を提供している。
文部科学省は2022年3月、令和の日本型学校教育を担う教員の育成を先導し、教員養成における変革をけん引する「教員養成フラッグシップ大学」の一つとして、大阪教育大学を指定した。
同大学は「教員養成フラッグシップ大学構想」として(1)ダイバーシティー教育を基盤とした教員養成プログラムなどの開発、(2)データ活用による根拠に基づいた教育施策や制度改善への貢献、(3)産官学連携や大学間連携をはじめとした全国的な教員養成ネットワークの構築――を掲げる。同大学はレノボとの包括連携協定のもと、この構想の実現に取り組むとしている。
大阪市との合築施設であるみらい教育共創館は、大阪教育大学や連携企業が1~5階を「みらい教育共創拠点」、大阪市教育委員会が6~10階を「大阪市総合教育センター」として利用する(写真2)。5階と6階間に屋内階段を設置して自由に行き来できるようにすることで、産学官連携の促進を図る。
レノボと大阪教育大学は、包括連携協定において不登校の児童・生徒を対象としたソリューション「レノボ・メタバース・スクール」(LMS)を提供する。レノボと大日本印刷(DNP)は2023年9月、東京都の「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム事業に係るプラットフォーム構築・運営組織」に採択され、2023年度には東京都の8自治体、2024年度には28自治体に「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム」(VLP)を共同で提供してきた(図1)。
今回の協定を通してレノボは、大阪市、ひいては関西地区にまで提供範囲を拡大することを目指している。同ソリューションは自治体と連携して提供されるため、児童・生徒は無料で利用できる。学習コンテンツで収集された学習記録を基に、指導要録上出席扱いとされることも可能だ。
レノボはLMSの運用において、複数の事業者と連携している。DNPがメタバースの構築・運用保守、城南進学研究社らが学習コンテンツの提供、PCテクノロジーが児童・生徒の相談役となるICT支援員の配置を担い、レノボは全体設計を担当する(図2)。
みらい教育共創館における活動内容について、レノボ 教育ビジネス開発部 担当部長の遠井和彦氏は「メタバースはあくまで空間なので、教育の在り方や評価の仕方、学びのスタイルなど、メタバースや不登校の児童・生徒に合うやり方を大阪教育大学と議論・検証したい」と述べた。
メタバースを活用する意義に関しては「ウェブ会議ツールは、例えば部屋に入って大人数で“ワイガヤ”するのは難しい設計となっているが、メタバース空間であればリアルの世界と近い形でコミュニケーションが取れる。アバターを使うことで心理的安全性が担保されて話をしやすくなったり、リアクションが大きくなったりする傾向がある」と説明した。