ITインフラに脚光を–カプセルトイ「手のひらネットワーク機器」の舞台裏
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さまざまなモノをミニチュア化して人気を博しているカプセルトイの世界で、2023年6月に発売された「手のひらネットワーク機器」がIT業界だけでなく一般からも大きな注目を集め、業界では異例という10万個以上を売り切る大ヒット商品になった。仮想化やクラウドが全盛の今、なぜネットワーク機器をカプセルトイにしたのか――企画・総合監修を行ったエーピーコミュニケーションズと製造元のターリン・インターナショナルに話を聞いた。
エーピーコミュニケーションズは、独立系システムインテグレーターとして、さまざまなシステムの構築や運用などのほか、近年はプラットフォームエンジニアリングやデータ、AI基盤などの案件も強化しているという。
エンジニア出身で手のひらネットワーク機器なども担当する社長室 広報グループの小松千恵さんは、「もともとエンジニアの採用が難しいという課題があり、エンジニアが喜ぶ会社になろうと、『エンジニア川柳』などを企画して盛り上がりました。そこから当社だけでなくITインフラ業界自体をさらに盛り上げたいと考え、ネットワーク機器をカプセルトイにするアイデアに至りました」と話す。
“花形”とされるソフトウェア開発やウェブデザイン、データサイエンスなどに対して、サーバーやネットワーク、ストレージなどのITインフラは“地味”に映ってしまう。そのITインフラも昨今では仮想化やクラウド化が進み、また、DXなどを背景にインフラの業務を“内製化”するITユーザー系企業も増える傾向にあり、IT業界ではインフラエンジニアの人材難が叫ばれるようになった。
そこで同社は、IT業界では珍しく物理的なモノが介在するITインフラを盛り上げるべく、見た目にも“映える”ハードウェアの玩具でITインフラを身近に感じてもらえる企画を思い立ったそうだ。IT機器を玩具として実現する上では、同社が独立系だったことも幸いしたといい、さまざまなベンダーと交渉できたことや、実機を可能な限り再現すべく細部の意匠にまでこだわることができたという。
小松さんは、「どのベンダーからも好意的に企画に協力していただきました。残念ながら一部の海外ベンダーでは本社から許可を得ることができず実現に至らないケースもありました」と話す。カプセルトイの存在をまず海外ベンダーの本社に理解してもらう必要があったり、企画を評価しつつもグローバルでのブランド管理の方針から承認が下りなかったりしたこともあったという。海外の本社を説得するために小松さんが英語の企画書を用意したこともあるそうだ。
2023年6月に発売した第一弾では、企画に賛同したA10ネットワークス、シスコシステムズ、古河電工のルーターやスイッチ、セキュリティアプライアンスの4機種を商品化した。商品化に際して複数の玩具メーカーと交渉し、名乗りを上げたのがターリン・インターナショナルだった。同社は、玩具メーカーのエポックのカプセルトイ事業を継承した企業で、多種多様なカプセルトイの中でも精密なモノの製造販売を強みにしている。
同社では、コロナ禍だった2023年1月に「手のひらPC&サプライ動画配信セット」というカプセルトイを発売していたこともあり、代表取締役社長の佐藤直志さんは、エーピーコミュニケーションズからの相談に、「これは面白い!」と商品化をほぼ即決したという。賛同ベンダーから提供された機器の情報やターリン・インターナショナルの総合監修を踏まえて商品づくりを進め、1個500円という販売価格の制約下でITインフラエンジニアも納得する機器を玩具として忠実に再現することに努めた。