データは「資産」–さらなる価値を生み出すデータマネタイゼーション
今回は「データは「資産」–さらなる価値を生み出すデータマネタイゼーション」についてご紹介します。
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デジタル経済では、データが最も貴重な資産だと、よく言われる。しかし、会計や保険の世界では、データは帳簿上の正式な資産ではない。サーバーや建物のような有形資産価値を持つ物体ではない。
この状況には違和感があるが、それは個人や企業がデータ製品を売買しており、人工知能(AI)や高度な分析といったデータ駆動型機能への依存度が非常に高いからだ。テクノロジーとビジネスの専門家は、たとえ帳簿に載らないとしても、データをさまざまな価値のある不可欠な有形資産として扱う必要がある。
「データのような無形資産が企業の貸借対照表、すなわち特定の時点における企業の資産と負債、資本の計算書に記載されないのはなぜなのか」。DBP-InstituteのマネージングプリンシパルであるPrashanth Southekal氏はCFO.Universityへの投稿でこう記している。
Southekal氏によると、データの公正な市場価値を決定するのは困難だという。組織は「データのライフサイクル(発生から消費まで)におけるデータ管理のコストと、データが組織にもたらすメリットの両方を金額に換算するのに苦労している」。他にも、不確かな減価償却やコンプライアンスの問題といった要因がある。
データ資産は帳簿に記載されないため、保険会社は企業への補償の対象となる「財産」とみなしていない、とWest MonroeのイノベーションフェローであるDoug Laney氏は語る。同氏はGartnerの元アナリストで、「Infonomics」と「Data Juice」の著者でもある。
データ資産を財産として評価することは何十年も前から法廷で議論されている、とLaney氏は先頃ボストンで開催された「Data Summit」の基調講演で説明した。「裁判所は混乱している」とLaney氏。「データは光ディスク上のバブルによって表されるという理由から、財産とみなすべきだとする裁判所もあれば、電子の質量はないに等しいため、データを財産として認めるべきではないと判断する裁判所もある」
会計におけるデータの価値は、1930年代に策定された規則に基づいている。当時のデータの保存先は、有形の紙だ。保険会社が「データを1つの塊として認識することはないだろう。なぜなら、貸借対照表にはデータの価値について何の記載もないからだ。基本的に、何が財産で何が資産なのかを判断する人々が、データは財産でも資産でもないという時代遅れの概念をより強固なものにした」
現代の組織はデータを活用して運営されているため(データから収益を得て、データの破損や盗難によって収益を失う)、そうした古い認識が変わる可能性はある。Laney氏は、企業がデータ資産を金融取引の担保にすることもある、と述べた。
「データが豊富にあり資金に乏しい企業が、データ資産を担保に融資を受けられるケースが増えている」とLaney氏。「当社が提携したある企業は、そうした融資を行うファンドと、担保のレベルを定める評価モデルを持っている。また、顧客のシステム上に常駐し、毎日実際にデータを安全なクラウド環境にエスクロー(預託)するテクノロジーを保有している」
Laney氏によると、データの可能性を最大限に引き出す能力が、いくつかの俗説や誤解によって妨げられる傾向にあるという。データマネタイゼーションに関する厳しい真実をいくつか紹介しよう。