Google広告費の影響を受けない新たなWebブラウザが必要だと、スクラッチからWebブラウザを開発する「Ladybird Browser Initiative」、元GitHub創業者らが立ち上げ
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本記事は、Publickey様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
スクラッチから新たにWebブラウザの開発をオープンソースとして行う非営利団体「Ladybird Browser Initiative」の設立が発表されました。
Ladybird Browser Initiativeは、Webブラウザ「Ladybird」およびそのためのWebブラウザエンジン「Ladybird」とレンダリングエンジン「LibWeb」、JavaScriptエンジン「LibJS」などの開発を行います。
Web開発の資金源が広告であるべきではない
Ladybird Browser Initiativeを設立したのは、元GitHub創業者兼CEOのChris Wanstrath氏と、NokiaおよびAppleでWebKit開発チームに参加していたAndreas Kling氏の2人。
Chris Wanstrath氏はこの団体の設立理由として、現在の主要なWebブラウザの開発資金にはすべてGoogle自身もしくはGoogleの広告費が絡んでいると指摘します。下記は「Why we need Ladybird」からの引用です。
Today, every major browser engine is open source, which is wonderful, but there’s still one issue: they’re all funded by Google’s advertising empire. Chrome, Edge, Brave, Arc, and Opera all use Google’s Chromium. Apple receives billions to make Google the default search engine in Safari, and Firefox has a similar deal where they receive hundreds of millions each year.
今日、主要なブラウザエンジンはすべてオープンソースであり、それは素晴らしいことではあるが、ひとつ大事な問題が残されている。Chrome、Microsoft Edge、Brave、Arc、OperaなどはすべてGoogleのChromiumを使っている。 AppleはSafariのデフォルト検索エンジンをGoogleにすることで数十億ドルを受け取っており、Firefoxも同様の契約を結んで毎年数億ドルを受け取っている。
そして、Webの開発は重要であるがゆえに、その主要な資金源が広告費であるべきではないと主張。
The web is too essential to have one primary source of funding, and too important to have that source of funding be advertising.
Webは1つの主要な資金源に頼るべきでないほど非常に大事な基盤であり、あまりに重要であるからこそ、その資金源が広告であるべきではないのだ。
だからこそ広告の影響を受けないブラウザが必要だとしました。
The world needs a browser that puts people first, contributes to open standards using a brand new engine, and is free from advertising’s influence.
世界は、人々のことを第一に考え、真新しいエンジンを使ってオープンスタンダードに貢献する、広告の影響を受けないブラウザを必要としているのだ。
これを踏まえてLadybird Browser Initiativeは、既存のWebブラウザのコードをフォークすることなくスクラッチからWebブラウザの開発に取り組むことと、その費用としてオープンなWebに関心を持つ企業や個人からのスポンサーシップや寄付金のみで運営されると説明されています。
すでに設立者であるAndreas Kling氏とChris Wanstrath氏の家族は100万ドル(1ドル150円換算で1億5000万円)を寄付したほか、スポンサー料金が10万ドル(同1500万円)のプラチナスポンサーとしてShopifyが参加するなど複数のスポンサーも獲得。今後も継続してスポンサーや寄付を募る予定です。
2年後の2026年夏にアルファ版が登場予定
しかし現在ではWebブラウザやレンダリングエンジンの開発は複雑化していると言われています。本当にWebブラウザが開発できるのでしょうか。再び「Why we need Ladybird」から引用します。
Many people say that it’s impossible to build a new browser and that you could never unseat Google Chrome. Well, you don’t have to unseat Google Chrome to make a difference – Firefox is proof of that. Firefox has never been the most popular browser, but it has majorly influenced every popular browser and made the web a better place.
多くの人は、新しいブラウザを作るのは不可能で、Google Chromeを追い越すことはできないと言う。 しかし、Google Chromeを追い落とす必要はない。Firefoxは決して最も人気のあるブラウザではないが、主要なすべてのブラウザに大きな影響を与え、Webをより良い場所にしたのだ。
つまり、Googleの広告費から自由な存在としてのブラウザを開発し、選択肢として登場させることそれ自体がWebによりよい変化をもたらすはずで、そのことがLadybirdの目的なのだと読み取れます。
発表によると、Ladybirdはまだ完成にはほど遠いものの、日常的なブラウジングに使える程度には達していると説明されています。
We can already do some of our daily browsing with Ladybird, like managing GitHub issues and pull requests, and commenting on Hacker News.
GitHubのIssueやプルリクエストの管理、Hacker Newsへのコメントなど、日常的なブラウジングの一部はすでにLadybirdでできている。
現在Ladybirdの開発はコミュニティからのコントリビュートに加えて4人のフルタイム開発者が関わっており、間もなくさらに3名の新たなフルタイム開発者が加わる予定とのことです。
ただし現時点での予定では、最初のアルファ版は2年後の2026年夏が予定されており、実際にLadybirdを試すことができるのはまだ相当先になりそうです。
Chrome/Chromium、Firefox、Safari以外の主要なWebブラウザやレンダリングエンジンの開発としては、このLadybird以外にRust製の「Servo」もスポンサーを得て継続されていることが伝えられています。
Webにも多様性と競争があることが望ましいことは間違いなく、そのためにLadibirdやServoの今後の進展に期待したいところです。
参考:Rust製ブラウザエンジンの「Servo」、アプリに組み込み可能なクロスプラットフォーム対応WebView化を目指す。Electron代替を目指す「Tauri」への組み込み実現へ