レッドハット社長が示した「プラットフォームの未来への挑戦」

今回は「レッドハット社長が示した「プラットフォームの未来への挑戦」」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、レッドハット 代表取締役社長の三浦美穂氏と、UiPath カントリーマネージャーの南哲夫氏の「明言」を紹介する。

 米Red Hatの日本法人レッドハットは先頃、事業戦略について記者説明会を開いた。三浦氏の冒頭の発言はその会見で、レッドハットが何を提供する会社なのかを端的に示したものである。

 会見の内容は関連記事をご覧いただくとして、ここでは三浦氏の発言に注目したい。

 三浦氏は今回の会見で、これまで以上に「プラットフォーム」という言葉にこだわっていた。これが会見を聞いた筆者の最も印象に残った点だ。なぜか。そこに、同氏が強く訴えたいメッセージがあったからだと見て取った。冒頭の発言は、筆者の感覚としてそれを捉えたつもりである。

 同氏は事業戦略の説明の中で、「当社はリライアビリティー、アジリティー、セキュリティに優れたプラットフォームを提供し、それによってお客さまのイノベーションを支えてきた」と述べ、「では、レッドハットがこれから提供するプラットフォームとはどんなものか」と投げかけて次のように話し始めた。

 「当社はオープンソースを活用して、企業のシステムのプラットフォームを支えてきた。ただ、そのプラットフォームの内容は時代によって求められるものが変わってくる」

 そして、同氏は「オープンソースがつくるプラットフォームの未来」と題した図1を示しながら、次のように説明した。

 「10年前は仮想化の技術がもてはやされて、当社はその動作環境にふさわしいOSとして『Red Hat Enterprise Linux(RHEL)』を提供し、アプリケーションのポータビリティーを実現してきた。そして、最近ではクラウド活用が進みつつある中で、実際にはオンプレミスとの連携が求められるようになり、このニーズに対して当社は『Red Hat OpenShift』などのハイブリッドクラウド環境を実現するプラットフォームを提供してきた」

 「では、これからのプラットフォームはどんなものかというと、AIを活用する時代に対応していく必要がある。AIを活用する上で最適なプラットフォームを提供していくことが、これからの当社の役目だと心得ている」

 図1に示された3つの時代は、それぞれユーザーメリットが異なる。同社によると、仮想化ネイティブは「コスト最適化」、クラウドネイティブは「アジリティー向上」、AIネイティブは「生産性向上」とのこと。このように時代が動いてきた理由を深掘りしたくなるようなシンプルな説明に感心した。かつてのテック一辺倒だった同社からは出てこなかったプレゼンテーションだ。

 三浦氏はその上で、直近のプラットフォーム拡充策として、「デベロッパーエクスペリエンスの向上」と「次世代ビジネスの成長」を挙げた(図2)。

 2023年7月にレッドハット社長に就任してちょうど1年が経過した三浦氏。本連載では就任後の初会見も2023年10月20日掲載の記事「レッドハット新社長が示してみせた『徹底した顧客視点』の意味」で紹介した。そして今回、同氏は「レッドハットは何者か」を改めて明確に示してみせたと、筆者は受け止めた。

 同社の思惑通り、果たしてAIネイティブの時代に確固たる存在感を示していけるか。注目していきたい。

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