企業の海外進出に翼を与える–NetSuiteとソースネクスト、16年越しのパートナーシップ

今回は「企業の海外進出に翼を与える–NetSuiteとソースネクスト、16年越しのパートナーシップ」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 日本オラクルは7月17日、中小/中堅企業やスタートアップなどの成長企業向けクラウド統合基幹業務システム(ERP)「Oracle NetSuite」に関するプライベートイベント「SuiteConnect Tokyo 2024」 を都内で開催した。

 NetSuiteは、クラウドERPの先駆けとして1998年に創業。以来25年以上にわたってサービスを提供し、世界219の国と地域における3万8000社以上の企業で利用されている。2005年に日本市場に参入し、2016年にOracleに参画した。

 基調講演では、初来日となるNetSuiteの創業者でOracle NetSuite エグゼクティブ バイスプレジデントを務めるEvan Goldberg(エバン・ゴールドバーグ)氏らがシステムの最新動向を解説するほか、顧客企業やパートナー企業も登壇した。本記事では、同日にNetSuiteとのパートナーシップ締結を発表したソースネクストを取り上げる。

 PC用ソフトウェア/ハードウェアの開発・販売を行うソースネクストは、パートナー企業を支援する「Oracle NetSuiteソリューションプロバイダープログラム」に参加し、NetSuiteの取り扱いを開始した。2022年にソースネクストから分社化したポケトークは、経営管理と内部統制の強化によるグローバル市場の事業拡大に向けて、NetSuiteを導入している。同社が展開するAI通訳機「ポケトーク」は2023年6月時点で、音声とテキストでは74言語、テキストのみでは11言語に対応している。

 ポケトークは日本、米国、オランダの3拠点で事業を展開しており、欧州やアジアでの市場開拓を進めている。基調講演に登壇したソースネクスト 代表取締役会⻑で、ポケトーク 代表取締役会⻑ 兼 最高経営責任者(CEO)も務める松⽥憲幸氏は「ポケトーク最大の危機はコロナ禍だった。しかし、われわれは多様な言語でのコミュニケーションに日頃苦心している米国に需要を見いだした。現在は米国での収益の方が大きい」とピンチをチャンスに変えた経験を語った。

 2025年の株式上場を目指すポケトークでは、新規株式公開(IPO)や将来の事業拡大に対応するシステムの構築とデータの整合性を担保する監査の実現が課題となっており、NetSuiteの導入に至った。同システムの採用理由には、高い拡張性に加え、多言語、多通貨、多国籍法規制に対応している点があるという。

 従来のシステムでは、データの整合性を保つことが難しく、IPOの監査に多くの時間と費用を要する可能性が懸念されていた。加えて、複数のシステムや表計算ソフトを利用することで、業務やレポート作成における工数の負担や、コーポレートガバナンスにおける透明性と正確性に課題があったという。

 NetSuiteの利用によりポケトークは、販売、仕入れ、在庫、請求、自動仕訳のデータをスムーズに連携することが可能となった。加えて、アクセス権限や監査証跡、ワークフローの承認に関する機能を活用することで、データの改ざんといったリスクを軽減し、内部統制を強化してIPO監査にかかる時間を短縮できると期待される。

 NetSuiteとソースネクストの関係は、今に始まったものではない。松田氏は基調講演後のQ&Aセッションで「実は16年前、NetSuiteのディストリビューターにならないかという話があったが、当時はローカライズも含めて行う必要があり、荷が重くて実現しなかった」と明かした。

 今回のパートナーシップ締結の背景には、ポケトークによるNetSuiteの利用に加え、日本企業における海外進出へのニーズがある。松⽥氏は「この1~2年で大きく変わったのは円の価値。日本企業、特にスタートアップは『グローバルに行くしかない』という危機感を抱いている。今こそ、3万8000社以上の顧客を擁し、多言語・他通貨に対応するNetSuiteを自信を持って案内できるのではないか」と意気込みを述べた。

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