企業が「データドリブンな組織」を作るための要件とは–ガートナーの提言から探る
今回は「企業が「データドリブンな組織」を作るための要件とは–ガートナーの提言から探る」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の一言もの申す等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業にとって最重視しなければならないのが、データをどのように活用していくかだ。データ活用を中核に据えた「データドリブンな組織」をどう作っていけばよいか。ガートナーの提言から探ってみたい。
「データドリブンな組織になるために実行すべきことは何か」
ガートナージャパン(以下、ガートナー)マネージングバイスプレジデントの堀内秀明氏は、同社が4月4~6日に都内ホテルで開催した「ガートナー データ&アナリティクス サミット」における同氏の講演でこう切り出した。その内容が興味深かったので、本稿で取り上げたい。
まず、「データドリブン」とは何か。ガートナーでは「データに基づいて、戦略策定、計画立案、ビジネスの意思決定などを行うこと」だと定義している。従って、「データドリブンな組織」とは、そうしたことが根付いている組織を指す。
なぜ、データドリブンが今、注目されているのか。堀内氏はその要因として、「経験や勘に大きく依存した意思決定のやり方に疑問が高まってきた一方で、データを利用してビジネスを進化させた事例に接する機会が増えてきたことが挙げられる」との見方を示した。
ただ、データドリブンに対しては、表1に示すように誤解や過度な期待も見受けられるという。表1の中で筆者が注目したのは、一番目の「第一歩としてやるのは、データを集めるのではなく、データを集める目的を明確にすること」だ。そんな誤解をするのかと思われるかもしれないが、さまざまなデータを一生懸命に集めているうちに、使用目的がぼやけてしまっているケースは多々ある。
また、四番目の「未来が予知できる」については、「予測モデルは作れるが、明確な予測はできない」ことを認識しておく必要がある。ちなみに、堀内氏は五番目の「人間がより良い判断を下すためにデータを利用する」ことが、今後非常に大事になってくると強調。その上で、「これまで経験や勘に頼ってきた姿勢を改め、データをフル活用して成果を上げていくために、意思決定を行う全ての個々人が意識や行動を変えていく必要がある」と訴えかけた。「意思決定を行う全ての個々人」を対象と捉えているのがポイントだ。
では、どうやって意識や行動を変えていけばよいのか。堀内氏はガートナーで実施した独自調査の結果を基に、データドリブンな組織に見られる特性を7つ挙げた。表2に示したのが、その内容だ。
このうち、幾つか補足説明を加えておこう。まず最下段に記されている「リテラシー」は、環境や状況に応じて、データを読み、書き、伝えられる能力として、データドリブンな組織の特性の中でもベースとなっているものだ。また、「有責」はデータ活用による事象に対して責任の所在が明らかになっていることを指す言葉だが、組織としてのガバナンスの観点からも重要な特性である。さらに、堀内氏は「革新的」のところに記されている「失敗を許容する文化」について「非常に重要な特性だ」と述べ、「日本企業にありがちな減点主義では、データドリブンな組織になっていく上でハードルが高い」との見解を示した。