第3回:職場におけるAI導入を成功させるための5つのポイント
今回は「第3回:職場におけるAI導入を成功させるための5つのポイント」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
前回の記事では、HRにおけるAIの活用に関して、従業員とリーダー層の間に認識のギャップがあることが明らかになりました。リーダー層は従業員のAIへの期待の高さを十分に認識できていない一方で、従業員はAIに対する不安も抱えています。効果的にAIを導入するためには、このギャップと不安を埋めることが不可欠です。
人事における主なAIのユースケースとしては「生成AIを活用した対話型エクスペリエンス」や「ギグやジョブとのマッチング」、そして「AI主導の能力開発支援やキャリアパス提案」などが挙げられます。
上記のユースケースは、まだ初期段階ではあるものの、近い将来には確実に進んでいくでしょう。今後目覚ましく成長していくと考えられる人事でのAI導入において、一歩先を行くために不可欠なポイントとは何でしょうか。
以下では、職場でのAI導入を成功に導く5つのポイントを詳しく解説します。前回明らかになった認識のギャップを踏まえ、リーダー層がいかにして従業員を巻き込みながら、AIの効果的な活用を実現していくべきか、その方策について探っていきます。
まず重要なのは、AIが仕事の進め方にどのような変革をもたらすのかを従業員に丁寧に説明することです。AIを導入することで、どのような業務が自動化・効率化されるのかを具体的に示すことが効果的でしょう。例えば、AIを活用することで、従業員の問い合わせへの対応がスピードアップしたり、より精密なスキル分析が可能になったりと、メリットは多岐にわたります。
また、一人一人のキャリアへの影響についても触れることが大切です。AIによって新たなスキルが求められるようになる一方で、クリエイティビティーを発揮する機会が増えるなど、ポジティブな変化もあることを伝えましょう。単に「AIを導入する」と告げるのではなく、それがもたらす変化の中身を具体的に示すことで、従業員の理解を得ることができるはずです。加えて、AIがもたらす変革を、組織全体の目指す方向性と関連づけて説明することも重要です。こうした丁寧な説明を通じて従業員のAIへの理解を深めることが、スムーズな導入のための第一歩となります。
次に、AIの活用事例を可視化することも重要なポイントです。AIは抽象的な概念だと捉えられがちですが、実際の業務にどう組み込まれているのかを可視化することで、よりイメージがつかみやすくなります。自社での実証実験の結果を共有するのも効果的でしょう。AIを実際に業務に適用してみて、どのような成果が得られたのかを従業員に報告することで、漠然とした不安が払拭(ふっしょく)され、前向きにAIと向き合えるようになります。
可視化に当たっては、データに基づいた説明を心がけることも大切です。定量的な効果を示すことで、AIの有用性をより説得力を持って伝えることができるでしょう。このように、活用事例を可視化し、データに基づいて説明することで、AIへの漠然とした不安を取り除き、積極的な活用を促すことができます。
AIには利便性だけでなく、倫理的な課題もつきまといます。プライバシーの保護や、アルゴリズムのバイアスなど、従業員が懸念を抱く問題にも真摯に向き合う姿勢が求められます。例えば、AIに学習させるデータが不適切だと、アルゴリズムにバイアスが生じ、採用や評価の公平性が損なわれる恐れがあります。信頼性の高いAI活用を保証するためには、包括的で多様性に富んだプロセスを徹底することが重要です。適切なデータガバナンスの仕組みを整備し、情報の取り扱いルールを定めることも必要でしょう。