恋活・婚活マッチングの技術を企業向け人材マッチングに応用できないか
今回は「恋活・婚活マッチングの技術を企業向け人材マッチングに応用できないか」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、エウレカ 代表取締役CEOの山本竜馬氏と、Google Cloud Security ソリューションマーケティング担当部長の橋村抄恵子氏の「明言」を紹介する。
恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」を運営するエウレカは先頃、マイナンバーカードの公的個人認証サービス(以下、ICチップ読み取り)を利用したオンライン本人認証(eKYC)を開始したことを発表した。山本氏の冒頭の発言はその発表会見で、新たな取り組みによってペアーズがより安心で安全なサービスになったことを強調したものである。
今回の取り組みは、サービスを利用する際の本人確認において、運転免許証などの公的書類と顔を撮影する従来の手法に加えて新たにICチップ読み取りを導入したものだ。詳細な内容については発表資料をご覧いただくとして、ここでは山本氏が会見で説明したペアーズの基本的な話と、ご縁があって今回のマッチングアプリに関する会見に出席した筆者が感じたことを述べたい。
山本氏によると、「ペアーズは恋活・婚活マッチングアプリとして日本で利用率ナンバーワン」とのこと。マッチングアプリ市場は着実に拡大しており、今では20~49歳の4人に1人が利用、ペアーズだけでいうと10人に1人が利用しているという。結婚相手と出会ったきっかけとしては、「日常生活の自然な出会い」に続くものとなっている。
ペアーズをさらに拡大していくため、山本氏は「新機能やAIによるマッチングパフォーマンス(マチパという)の向上」「企業との共同イベントなどの連携」「テレビCMや自治体との連携による認知・信頼の向上」「プラットフォームの安心・安全」といった4つに注力していくと説明した。
さて、筆者が上記の会見に出て何を感じたか。それは、人間同士の相性を対象としたマッチングアプリのアルゴリズムをはじめとした技術やノウハウを、恋活・婚活における個人向けサービス(BtoC)だけでなく、プロジェクトメンバーの選定などの企業向けサービス(BtoB)にも活用できないかということだ。
今や多くの企業がプロジェクト型でさまざまな事業を推進するようになってきているが、そのリーダーもさることながら、キャリアやスキル、性格、多様性などを考慮した上でどのようなメンバー構成にするかというのは、プロジェクトを成功させる大きな要素だ。
もちろん、そうしたプロジェクトメンバーの最適な選定に向けた人材マッチングシステムも以前から存在しており、筆者も幾度か取材したことがあるが、感性における分析が軽く見られがちではないかとかねて感じていた。その点、恋活・婚活を対象とするマッチングアプリから応用できるところがあるのではないか。山本氏の話を聞いていて、ふつふつとそういう思いが湧き出てきた。同じマッチングでも中身がぜんぜん違うとのご指摘があるかもしれないが、ビジネスの観点から言うと、個人から企業へ向けたサービス拡大へのチャンスだ。そんなチャレンジングなサービスベンダーが出現することを期待したい。