ITインフラ運用の内製からマネージドサービスの利用へ、CACが売り込み強化
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システム構築と運用などを展開するシーエーシー(CAC)が、ITインフラなどの運用サービスを提供するマネージドサービスに一段と力を入れている。
同社は、2023年2月に提供を始めたグローバルに活動する企業のITインフラ運用を包括的に担う「マネージド デジタルワークプレース サービス」(マネージドDWS)に続いて、2024年5月にアプリケーション運用を担う「マネージド アプリケーション オペレーション サービス」(マネージドAOS)の提供を開始。システム運用全体に占めるマネージドサービスの売り上げの比率を2023年度(12月期)の約3割から2025年度に約5割まで引き上げる計画を立てている。
IDC Japanが2023年12月に発表した国内ITインフラ運用動向調査の分析結果によると、ユーザーがITインフラ運用の内製化からマネージドサービスの利用にシフトしつつあることが分かったという。具体的には、マネージドサービスの利用率が調査時点の10.5%から2年後に26.2%と大きな増加を予測している。背景には、マルチクラウドによるITインフラ管理や運用の複雑化が進み、運用管理コストが増加傾向にあること。また、セキュリティ対応を含むIT管理者の確保が難しくなることも懸念されている。
こうした中で、CAC 取締役 兼 業務担当執行役員の穂積裕憲氏は「2022年に、これからのシステム運用は人手から自社アセットの提供へとなる」と判断し、需要拡大を期待できるマネージドサービスの開発に取り組み始めたという。受託開発からITサービス提供への変革を推し進めるシステム構築のビジネスと同じように、ITインフラとアプリケーションの運用に関する設計やプロセス、手順などの標準化、サービスメニューの拡充を図っているところだ。
同社 エンタープライズサービス統括本部サービスプロデュ―サーの森満義典氏は、「当社にシステム運用を全て任せてもらうことで、IT部門はITを活用したビジネスへの貢献に専念できる」と、マネージドDWSの活用メリットを説く。例えば、IT部門が運用に関する知識の習得から実務までに多くの時間を取られることや、利用するアウトソーサーのサービス品質への不満の高まりなどがある。特に、柔軟性がなく、要望への反応が鈍いアウトソーサーへの不満が高く、契約内容と料金に対する納得感を得られないと嘆くIT部門もいるという。評価する時間がないユーザーもいるだろう。内製化が運用担当者のキャリアップを妨げることもある。人材不足が同じ仕事をさせ続けることになるからだ。
こうした課題を解決するのが、レディーメイド型のマネージドDWSになるという。森満氏によると、日本発のグローバルビジネスを展開する日本企業を後押しするもので、対象はネットワークやセキュリティ、サーバー運用、さらにはメールやウェブサイト、ファイル共有などコミュニケーションのITインフラ運用になる。
森満氏によると、マネージドDWSは「日本からITガバナンスを効かせたい」といったニーズにも応えられ、既に数社の製薬会社や製造業などが導入している。同氏は「サービスメニューごとの基本料と従量課金など分かりやすい料金体系にした」とし、結果的に運用コストが2~3割削減できたユーザーもいるという。
人手による作業から自動化が進めば、さらに下がることもあるという。ユーザーがDWSにフィットさせる運用やCACの提供体制の工夫などにもよる。もちろん個社ごとに異なるため、あくまでも目安になる。DWSを導入しても料金があまり下がらないユーザーもいるという。そこに、同社がオーダーメイドの従来型運用アウトソーシングを提供し続ける意義がある。
もう1つのアプリケーション運用業務を代行するマネージドAOSは、アプリ運用業務の分散化によるコストの増加や、部門/システムごとの異なる運用ルールや品質レベルなどの課題を解決できるという。CAC エンタープライズ統括本部 産業サービス部副部長の三浦夏樹氏は、「アプリのレイヤーまで踏み込んだのが、当社のマネージドサービスの強み」と、オンプレミスやクラウドなど複数の環境を統合集約し、部門やシステム横断で標準化した運営と均一な品質で、運用サービスを提供するという。
サービスメニューには、サービスデスクやジョブ運用、リリース管理、バックアップ・リストア管理、ドキュメント管理、監視管理などがある。CACのエンジニアはテクノロジーを軸に、複数のユーザーを横串で担当し、より高い効果を発揮できるようにもしているという。
いずれにしろ、CACがユーザーにマネージドサービスの価値を認めてもらえるかがカギになるだろう。