SAP、開発環境などを大幅拡充–独自機能を作成できる「Joule Studio」を発表

今回は「SAP、開発環境などを大幅拡充–独自機能を作成できる「Joule Studio」を発表」についてご紹介します。

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 SAPは米国時間10月8日~9日、年次開発者イベント「SAP TechEd 2024」をオンラインで開催する。生成AI関連をはじめとした開発者向けの機能強化が発表される。Business Technology Platform担当エグゼクティブバイスプレジデント兼最高製品責任者を務めるMichael Ameling氏に詳細を聞いた。

 TechEdでの発表は、同社のコパイロット「Joule」と、「SAP AI Core」に新たに加わる「SAP Knowledge Graph」などのデータ関連、「SAP Business Technology Platform 上の開発者向けツール「SAP Build」でのビジネスAI関連機能の強化の大きく3分野に集約される。

 1つ目のJouleでは、エージェント型振る舞い(Agentic Behavior)として、AIエージェントのコラボレーションを可能にする機能を加える。Ameling氏は、「単純なワークフローの自動化ではなく、異なるドメインの複数のエージェントが相互に対話して最適解を導き出す」と説明する。

 例として、取引先との見解の違いなどの解決を支援する係争管理の「Dispute Management」では、請求書、財務状況、顧客対応履歴などの異なるエージェントが協力することで、解決のシナリオを分析して解決を支援するという。TechEdでは、Dispute Managementのほか、財務の「Financial Accounting」もユースケースとして紹介する。

 Jouleでは、このほかにSAP Buildの一部である「SAP Joule Studio」で、パートナーや顧客が独自のJouleの機能を構築できるようになった。「さまざまな業種や用途に合わせて、Jouleの対話インターフェースをカスタマイズできる」とAmeling氏。人事部門が入社手続きプロセスを作成するなどの例が考えられるという。

 適用範囲も拡大し、最も使用されているビジネスタスクの80%をサポートするようになった。ユーザー体験側では、2024年中にモバイルアプリの「SAP Mobile Start」で利用可能になり、2025年にはSuccessFactors、Concurでもモバイル版で利用できるようになる。

 「Jouleは9月で誕生から1年を迎えたばかり。今年のTechEdで、既に次のレベルに引き上げる」とAmeling氏は説明する。

 このほか、「Generation AI Hub」では、「AlephAlpha」「IBM Granite」「Mistral」「Meta Llama」などで最新モデルをサポートした。「顧客はTCO(総所有コスト)やビジネスのニーズに合わせてモデルを選択できる」とAmeling氏は述べる。

 2つ目の「SAP Knowledge Graph」は、「SAP S/4HANA」のセマンティックレイヤーとして、SAPの膨大なデータ全体の関係性や文脈をマッピングするものだ。Ameling氏は、「SAPのシステムには45万の『ABAP』テーブル、8万のコアデータサービスビュー、数千もの『Fiori』アプリケーションがある。Knowledge Graphを使って、これらの要素がどのように関連し、どのような意味を持つのかを明らかにできる」と説明する。2025年第1四半期に、「SAP Datasphere」とJouleで利用できるようになる予定だ。

 このほかにデータ関連では、アナリティクスの「SAP Analytics Cloud」に「compass」機能を加える。モンテカルロシミュレーション法を用いて、複雑なシナリオをモデル化し、想定結果をシミュレーションする機能で、「数学的な根拠のある水晶玉」とAmeling氏は形容する。価格や需要の変動などの際にシミュレーションを行うことで、リスクを回避したり、最適な管理や効率化に役立てたりできる。SAP Analytics Cloud compassは2025年第1四半期に一般提供を予定している。

 また、「SAP Integration Suite」も強化した。自動車業界向けのデータ流通基盤「Catena-X」など、SAP以外のデータソースとの統合が容易になるほか、データやプロセスの変化をリアルタイムに検出し、それに対応するイベント機能なども加わった。サードパーティーのアダプターとして、Anaplan、HubSpot、NetSuite ERP、Snowflakeなども用意する。これらの機能強化は、2024年中に提供を開始する。

 3つ目のSAP Buildは、2022年のTechEdでローコードツールとして発表され、2023年には、Java/JavaScript開発向けのProを加えるなど拡充してきた。

 今回のTechEdでは、SAPの開発言語であるABAPの統合を実現した。SAP Buildから直接ABAPツールにアクセスできるもので、「Java、JavaScript、ABAPの開発者が同じプラットフォームを使うことで、協業が進む」とAmeling氏。独自のABAPコード生成モデルも開発しており、2025年中にリリースを予定している。「S/4HANA Cloud Public Editionの数百万行のコードでトレーニングされており、ABAPコードの生成、既存コードの説明などが可能になる」と述べた。

 SAP Buildでは、「Extensibility Wizard」も導入する。S/4HANA Cloudと直接統合されており、ビジネスユーザーがSAP Buildを使って容易にワークフロー拡張を作成できるという。

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