AI導入は組織の全部門が関わる取り組み–CIOが果たすべき主導的役割
今回は「AI導入は組織の全部門が関わる取り組み–CIOが果たすべき主導的役割」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
人工知能(AI)の急速な進化を無視できる企業はないが、いかなる組織もデータ主導の取り組みが無秩序に立ち上がるのを放置することはできない。
「ChatGPT」や「Bing」などの生成AIサービスという形であれ、大規模なデータ分析への着手を可能にする機械学習主導の取り組みであれ、AIは組織のテクノロジー利用のあり方を大きく変えるものだ。私たちのビジネスと、それらの企業での働き方が、永遠に変わろうとしている。
企業にとっての現在の優先事項は、AIを適切に管理された方法で導入することだ。では、AIを最大限に活用できるようにする責任は誰が負うべきなのか。最高情報責任者(CIO)か、最高データ責任者(CDO)か、それとも他の誰かだろうか。
残念ながら、業界の専門家らによると、簡単な答えはないという。
「これは非常に複雑な問題だ」。米ZDNETにこう語ったLily Haake氏は、人材紹介会社Harvey Nashでテクノロジーおよびデジタルエグゼクティブサーチの責任者を務めている。同氏は、AIの利用増加と時を同じくして、CIOとITチームの役割や責任が問われていることを認識している。
CIOは従来、テクノロジーの取り組みを主導することが最も多い幹部だったが、この5年ほどの間で状況が変化し、ライン部門のマネージャーがITシステムとサービスの調達に関して、より大きな責任を負うようになった。
クラウドコンピューティングはこの変化の中心にある。今ではどの部門の従業員もクラウドを使って、ビジネスの課題に対するテクノロジーソリューションをオンデマンドで購入するようになった。
この分散化の時代におけるCIOとIT部門の重要な役割は、他の部門と関わって、テクノロジーの購入に関するアドバイスを提供するとともに、適切なガバナンスを確立して、社内外のサポートの強力なエコシステムを構築することだ。
AI、とりわけ生成AIの急速な台頭により、すでに解決困難な状況にあるテクノロジーの管理がさらに複雑さを増す。
Haake氏によると、Harvey Nashの調査で、大半の組織のAIがまだ初期段階にあることが明らかになったという。「AIを検討したこともない組織が多数存在する」とHaake氏。「約60%は何らかの形で試験導入したが、もちろんすべての組織ではない」
このテストの予備段階では、おそらくCIOがあらゆる種類のAIプロジェクトでリーダー役を務めることになるだろう。これにはいくつかパターンがあり、データの組織化が進んでいる大企業では、CDOがAIを日常的に監督するかもしれない。
しかし、このような場合でも、CDOはCIOの直属である可能性が高いため、AIに関する最終的な責任はCIOが負うことになる。そして、現時点での新興テクノロジーの企業導入に伴う不確実性を考えると、それは悪いことではない。
「CIOは、組織の多様なニーズを俯瞰することができる経営幹部だ。そしてもちろん、AIにはビジネスのあらゆる面に影響を与える力がある」とHaake氏。「そのため、CIOがAIを担当するケースが多くみられる。CIOは、この領域を管理して責任を負う者になりたいと考えている」