パテントトロールに反撃–先行技術で特許の無効化を目指すオープンソース界
今回は「パテントトロールに反撃–先行技術で特許の無効化を目指すオープンソース界」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
このところ、「LinkedIn」に求人広告を掲載した企業には、いつものように大量の履歴書とカバーレターが届いただけでなく、非常に意外な反応が返ってきたかもしれない。Edge Networking Systems, LLCから訴訟の脅しが届いていないだろうか。
Edge Networking Systemsはパテントトロールだ。つまり、特許を買い漁って、自ら使用するのではなく、その特許を使いたい人から金銭をゆすりとる企業だ。例えば、「Kubernetes」エンジニアの求人情報を掲載したとしよう。同社のボットがこれを発見すると、掲載企業がKubernetesを使用している可能性が高いと判断して、停止通告書を送りつけ、同社のKubernetesの特許を侵害しているためライセンス料を支払う必要があると主張する。これが野蛮で不思議な21世紀のパテントトロールの世界だ。
この裏にはどんな論理があるのだろうか。
電子フロンティア財団(EFF)によると、「パテントトロールは実際に新しい製品を開発するわけでも新しいアイデアを考え出すわけでもなく、特許を法的な武器として使用する」という。パテントトロールが集めた特許は、落ち目の企業から買い叩いたものだ。米特許商標庁(USPTO)は、斬新でも画期的でもないアイデアに非常に広範な特許を与えるため、パテントトロール(通常は他に事業がない)は、特許侵害の可能性がある相手に簡単に脅迫状を送ることができる。このような書状は一般的に、特許を侵害しているとされる人が特許使用料の支払いに応じなければ訴訟を起こす、と脅迫する内容だ。特許使用料は数万ドルから数十万ドルに及ぶことがある。
裁判費用はパテントトロールに支払う金額よりはるかに高額であるため、これは非常に成功したビジネスモデルだ。特許訴訟の半数以上が、パテントトロールによって提起されている。特に、Kubernetesなどのオープンソースプロジェクトを使用する企業が標的になりやすい。
Cloud Native Computing Foundation(CNCF)、The Linux Foundation、United Patentsは、この最新の攻撃にうんざりしている。CNCFのエグゼクティブディレクターであるPriyanka Sharma氏は、先週開催された米国ユタ州ソルトレークシティーで開催された「KubeCon North America 2024」の基調講演で次のように語った。「パテントトロールはわれわれのエコシステムに何も貢献していないどころか、採用すらしていない。法制度を悪用して、クラウドネイティブの採用者を食い物にしている。ここで、パテントトロールに勝ち目がないことを全世界に伝えたい。なぜなら、CNCFがパテントトロールを阻止すべくエコシステムを団結させているからだ。ジャコウウシの群れのように、牧草地から追い払ってみせる」
CNCFの最高技術責任者(CTO)であるChris Aniszczyk氏は次のように述べている。「パテントトロールが利益を得られるのは、多くの企業が反撃のための費用が高すぎると考えて、和解金を支払って高額な訴訟費用を避けるからだ。しかし、企業の一群がジャコウウシのように団結してパテントトロールを追い払えば、反撃のコストの構造が変化し、パテントトロールの経済モデルが崩壊する」