日本HP社長が説く「AI PCがこれから求められる理由」とは

今回は「日本HP社長が説く「AI PCがこれから求められる理由」とは」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、日本HP 代表取締役 社長執行役員の岡戸伸樹氏と、Salesforce SVP 製品マネジメント Sales Cloud担当のMaryAnn Patel氏の「明言」を紹介する。

 日本HPは先頃、今後の事業戦略について記者説明会を開いた。岡戸氏の冒頭の発言はその会見で、主力のPC事業において2024年は「AI PC」の市場を力強く立ち上げることを明言したものである。

 会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは冒頭の発言に注目したい。

 岡戸氏は、2024年の日本HPについて「飛躍の年にしたい」と意欲を述べ、その原動力として2024年が「AI PC元年」になることを見据え、「AIが市場拡大を促進し、PCにとって新たな時代が始まる」と力を込めた(図1)。

 その上で、「PCはパーソナルコンピュータの略語だが、これからは『パーソナルコンパニオン』になる」と述べた。どういうことか。岡戸氏は次のように説明した。

 「これまでコンピュータのテクノロジーというのは、ちょっと分かりづらいものとして、後方に隠れているような存在だったが、生成AIをはじめとしたAIの出現によって、AIがテクノロジーを分かりやすくし、人がやることを支援してくれるコンパニオン(伴走者)の存在として、まさしく人に寄り添ってくれるようになる」

 これまでテクノロジーが後方に隠れていたかどうかは見方が分かれるかもしれないが、ユーザービリティーという観点からAIがテクノロジーを分かりやすくするという同氏の説明には、なるほどと思わされるものがあった。

 さらに、次のようにも話した。

 「今、AIを利用するとなると、ほとんどのツールがクラウド経由になる。ただ、これからAIがさまざまなシーンで使われるようになると、クラウド経由ではレイテンシー(遅延時間)などの問題が大きくなってくる。そうなると、エッジ側でAIの多くの処理を行うニーズが高まってくる。AI PCはまさしくそのニーズに応えるものになる。処理時間としては、クラウド経由よりもローカル(エッジ)の方が5倍ほど速くなる可能性がある。しかもコストにおいても、エッジAIを使うことでクラウド経由よりも最大8割削減できると、われわれは見ている。そう考えると、AIは今後、エッジでどんどん使われるようになっていく」

 そして、岡戸氏はその主役となり得るAI PCが「近いうちにPC市場の半数を占めることになる」との見方を示した。

 国内のPC市場は相変わらず、激戦区だ。MM総研の調査結果によると、2023年度上期(2023年4~9月)の出荷台数シェアは図2の通りだ。NEC・レノボ、日本HP、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)、デルがここ数年、激しいシェア争いを繰り広げているが、ブランド別で見ると「HP」がトップを争っているのは間違いない。

 岡戸氏はAI PCについて、「当社がこの新しい市場を開拓し、広げ、けん引していく」と力を込めた。「特需になるのではないか」との市場の見方もある中で、同社がどれほどの「飛躍」を見せるか。注目していきたい。

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