Ruby 3.4正式リリース。YJITコンパイラの速度向上とメモリ削減、新パーサPrismがデフォルトに

今回は「Ruby 3.4正式リリース。YJITコンパイラの速度向上とメモリ削減、新パーサPrismがデフォルトに」についてご紹介します。

関連ワード (名前、意図、採用等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、Publickey様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


Ruby開発チームは2024年12月25日、Ruby 3.4.0の正式リリースを発表しました。

Rubyは毎年12月25日に新バージョンをリリースすることが恒例となっており、2024年も予定通りに新バージョンが登場しました。

fig

YJITコンパイラの速度向上とメモリ削減

Ruby 3.4ではJITコンパイラとして搭載されているYJITの速度向上と使用メモリ削減が実現されました。

Ruby 3.1でメインラインにマージされたYJITコンパイラは、ECサイト構築サービスを提供するShopifyが、大規模なRailsアプリケーションにおいてより高い性能向上を目指して開発したJITコンパイラです。

Ruby 3.4でのYJITは、x86-64とarm64の両方のプラットフォームにおいてほとんどのベンチマークのパフォーマンスが向上したこと、メタデータの圧縮と統一的なメモリ使用量制限によりメモリ使用量が削減されたことが報告されています。

「it」の追加

構文における新機能としては、ブロックパラメータに名前をつけずに参照する「it」が追加されました。下記のように、ブロック内で「_1」のみを使用する意図がある場合に、その代替として「it」を用いて分かりやすく記述できるようになりました。

パーサがPrismに、ガベージコレクタの動的ロード

また、ユーザーにはほとんど影響がない変更として、デフォルトのパーサがPrismに変更されました。

Rubyのパーサとは、Rubyのコードを解析し、Rubyランタイムで実行しやすい形式に変換するための処理などを担っています。

それ以外にも、Ruby関連ツールでRubyのコードを解析する場合、例えばコードエディタでRubyのコードを補完するための書きかけのコードを解析する処理や、Rubyのコードのフォーマットを整えるなどの関連ツールやライブラリでのRubyコードの解析、Javaで実装されたRubyであるJRubyなどさまざまなRubyの実装におけるコードの解析など、さまざまな場面でパーサが使われています。

Prismはこれまでのパーサとの互換性を保ちつつ、書きかけのコードのような不完全なコードであっても可能な限り解析できるエラートレラント性、さまざまな実装において利用しやすいような移植性、長期的に使い続けられるようなメンテナンス性のそれぞれを十分に満たすように開発が行われてきました。

そしてRuby 3.4でデフォルトのパーサとして採用されたのです。これによりRuby関連ツールやさまざまなRuby実装などにおいて今後の進化が容易になったと言えるでしょう。

その他の新機能として、Modular GC 機能によりRuby標準とは異なるガベージコレクタの実装を動的にロードできるようになりました。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
屋内農業向け水質・土壌管理システムを手がけるデンマークのNordetectが約1.6億円調達
バイオテック
2021-03-22 20:55
マイクロソフト「Azure Sentinel」にランサムウェア検知機能「Fusion Detection」
IT関連
2021-08-10 07:04
[速報]VMware Cloud Universal発表、マルチクラウドの料金支払いをVMwareが一本化へ
VMware
2021-04-01 08:03
Metaの監督委員会、FacebookとInstagramに「晒し」からユーザーを守る規定強化を要請
IT関連
2022-02-10 11:35
あいおいニッセイ同和損保、横断型DX組織を設立–照会応答業務の自立的な問題解決を促進
IT関連
2023-01-19 05:45
スマートウォッチで業務現場の熱中症や転倒・転落を予防–ユビテックが機能強化
IT関連
2022-07-12 08:27
Facebook、EC領域でAIとAR分野に投資 Instagramのショップ機能を拡充
ロボット・AI
2021-06-24 05:01
今週の記事ランキング(2021.5.30〜6.3)
IT関連
2021-06-05 01:58
科学的なデータを基に脳に栄養を与える「ブレインケア」用サプリを販売するHeightsが2.4億円調達
ヘルステック
2021-02-02 10:26
企業におけるクラウドやマルチクラウド活用の現実
IT関連
2022-01-26 17:38
KDDI、仕訳明細・残高データの可視化ツール導入–親会社と子会社双方の負担軽減
IT関連
2021-03-19 16:53
フィットネスクラブ・スクールなど店舗向け会員管理・予約・決済システム「hacomono」が5億円調達
ネットサービス
2021-03-23 16:40
旭化成グループ、防災情報システムを21都府県で運用開始
IT関連
2023-03-14 07:40
読売新聞子会社でクレカ情報流出 すでに767万円の金銭的被害も確認
セキュリティ
2021-07-15 04:15