AI PCは通常PCとどう違う?–NPU市場やWindows/macOSの動向解説

今回は「AI PCは通常PCとどう違う?–NPU市場やWindows/macOSの動向解説」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 企業は競争力の維持に向けてAIの活用方法を模索しており、これに合わせてPCも進化しなければいけない。

 これが、「AI PC」が2024年に話題となり、2025年も引き続き注目される理由である。PCメーカーや委託製造(OEM)企業、チップメーカーは新たなアップグレードサイクルの開始を目指している。

 しかし、AI PCとは具体的にどのようなもので、通常のPCとはどう違うのだろうか。

 AI PCは、AIや機械学習(ML)のタスクを高度に処理するために設計されたハードウェアとソフトウェアを備えたパーソナルコンピューターだ。数値計算やデータ抽出といったAI/MLタスクに必要な高い処理能力を提供する。

 これらのタスクには、「Stable Diffusion」のような生成AIプログラム、ローカル言語モデルを搭載したチャットボット、包括的なデータ分析、AIモデルのトレーニング、複雑なシミュレーションやAI駆動型アプリケーションの実行など、幅広いワークロードが含まれる

 これらのPCは強力なCPUとGPUを搭載し、システムにマルチタスク能力を付与する。また、十分なランダムアクセスメモリー(RAM)と高速なストレージオプションを備えており、AIタスクを高速化するニューラルネットワーク処理ユニット(NPU)というチップも搭載する。

 IntelとMicrosoftは共同でAI PCの定義を策定している。これらのPCにはCPU、GPU、NPUだけでなく、キーボードに物理的な「Microsoft Copilot」キーが搭載され、ユーザーはローカルでCopilotを実行できるようになるだろう。

 NPUの性能とパフォーマンスの指標については後述するが、現時点では満たすのが難しいパフォーマンス要件がある。

 目標は、AIタスクを高速に実行し、エネルギー効率に優れ、機密性の高いデータなどをクラウドベースのAIサーバーに送信して処理する必要がないシステムを構築することである。このアプローチにより、システムはインターネット接続から独立して動作し、データをローカルに保持することでセキュリティを強化できる。

 Appleは「Apple Intelligence」というプラットフォームでAI領域に大きく踏み込んでおり、同プラットフォームでは最新のプロセッサーとOSを組み合わせ、文書作成や画像関連のツールを開発している。同社の最新ハードウェア全般はApple Intelligenceに対応しているとうたっているが、一部機能のハードウェア対応は「Mac」と「iPad」に搭載する「M1」チップまでさかのぼる。「iPhone」カテゴリーで同技術に対応する最も古いプラットフォームは、「iPhone 15 Pro」と「iPhone 15 Pro Max」の「Apple A17 Pro」である。

 つまり、消費者はAIの波に乗るために新しいハードウェアを購入することは必須ではなく、旧型のハードウェアでもAIの恩恵を受けられるといえる。

 NPUは、AIタスクの重い処理を管理するために設計された専用プロセッサーで、通常はGPUに割り当てられる処理を担当する。

 PCのGPUは確かにAIのワークロードを処理できるが、かなりの電力を消費する。バッテリーの持続時間が重要なノートPCでは理想的ではなく、デスクトップPCにおいても最適な選択肢とはいえない。

 現時点では、NPUはGPUの役割を完全に引き継ぐにはまだ十分ではない。どちらかと言うと相補的な関係で、2つのプロセッサーが連携して電力消費量を抑制すると同時に処理時間を短縮している。

 しかし、これはまだ始まりに過ぎず、次世代のNPUはAIタスクを単独で高速処理できるようになる可能性が高く、GPUは得意分野に集中することになりそうだ。

 IntelとAdvanced Micro Devices(AMD)は、AI PC分野に本格参入している。

 Intelの「Core Ultra」やAMDの「Ryzen 7000/8000」デスクトッププロセッサー、「Ryzen AI 300」モバイルチップなどのプロセッサーシリーズは、いずれもAIワークロードの一部を処理するNPUを搭載している。これらのワークロードには、ビデオ通話や動画生成におけるAI効果、AIで高速化されたソフトウェアによる優れたマルチタスク、AIアシスタントなどが含まれる。

 いずれ、「生産性」「効率性」「高度なコラボレーション」といった言葉が飛び交うようになるだろう。

 しかし、IntelとAMDはこの分野でやや遅れを取っている。Appleが2020年にIntel製のプロセッサーから自社製のMシリーズプロセッサーに切り替えた時、これらのチップには全て「ニューラルエンジン」が搭載されていた。

 しかし、この話はさらにさかのぼる。Appleが2017年9月に発表したiPhone用の「A11 Bionic」は、ニューラルエンジンを搭載した同社初のチップである。AppleはAI計画を内密にしていたが、2024年後半のApple Intelligenceツールとブランディングの登場により、同社が長年ハードウェアのAIについて下準備をしてきたことが明らかになった。

 2018年には、Qualcommの「Snapdragon」モバイルプロセッサーの一部にもニューラルエンジンが搭載された。

 IntelとAMDはこの分野を先導しているというよりも、むしろ追い付こうとしている状態だといえる。

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