サイバートラスト、「AlmaLinux」に参画–「MIRACLE LINUX」も合流へ

今回は「サイバートラスト、「AlmaLinux」に参画–「MIRACLE LINUX」も合流へ」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 サイバートラストは5月22日、米AlmaLinux OS Foundationに日本企業として初めてプラチナスポンサーとして参画するとともに、米CloudLinuxとの協業を開始すると発表した。サイバートラストが手がける「MIRACLE LINUX」は、次期バージョンからAlmaLinux OS Foundationが手がける「AlmaLinux OS」に“合流”する方向性も明らかにした。

 AlmaLinux OSは、2020年の米Red Hatの「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)のリビルド版となる「CentOS」の開発方針の変更に伴い、CentOSディストリビューターのCloudLinuxがCentOSの代替としてリリースした。AlmaLinux OS Foundationは、オープンソースソフトウェアとしてのAlmaLinux OSの開発を行うコミュニティーとなる。

 サイバートラストは、2001年からLinuxディストリビューションのMIRACLE LINUXの開発と提供を手がけ、Red Hatの方針変更時にMIRACLE LINUXを無償公開化した。無償公開後にこれまでに約6万ダウンロードが行われているという。

 同日に記者会見したサイバートラスト 代表取締役社長に眞柄泰利氏は、AlmaLinux OS Foundationへの参画およびCloudLinuxとの協業理由について、「今後も長期的かつ安定的にLinuxのディストリビューションを提供し、また、米国を中心としたソフトウェアサプライチェーンのセキュリティとコンプライアンスを強化する動向へ適切に対応していくためだ」と説明した。

 CentOSをベースとして長期サポートに取り組むLinuxディストリビューションのコミュニティーは複数あるが、眞柄氏は、AlmaLinux OSが米国連邦情報処理標準の「FIPS 140-3」などに準拠しており、AlmaLinux OS Foundationの掲げる極めて公平かつオープンな開発方針がサイバートラストの方針に合致し、CloudLinuxが手がけるセキュリティおよびコンプライアンスのための技術、サポートがサイバートラストの顧客に貢献するとして今回の関係構築に至ったと述べる。

 既にサイバートラストでMIRACLE LINUXを開発する2人のエンジニアがAlmaLinux OSの開発者コミュニティーに参加して活動を開始しており、今後サイバートラスト 執行役員 OSS技術本部長の吉田淳氏が、AlmaLinux OS Foundationの理事会に参加する。サイバートラストは、まずAlmaLinux OS Foundationのプラチナスポンサーとなり、今後ボードメンバーになる予定だとしている。

 今後のMIRACLE LINUXについてサイバートラストは、現行のMIRACLE LINUX 8では標準サポートを終了する2030年5月31日まで、MIRACLE LINUX 9では2032年11月30日までそれぞれ同社が開発とサポートを継続すると説明。他方で、AlmaLinux OS Foundationと協調した開発を進めることになり、将来のMIRACLE LINUXは、2020年代後半にリリースされる見込みの「AlmaLinux 10」に合流することになるという。

 またCloudLinuxとの協業では、6月に長期サポートサービスの「AlmaLinux Standard サポート」(仮称)の提供を始める。現時点で16年継続する専用リポジトリーや日本語サポートなどのメニューになる予定で、利用料はOS稼働数当たり年額税別8万4000円とする。さらに8月以降は、CloudLinuxが開発するOS無停止のカーネル更新技術を用いた「AlmaLinux ライブパッチサービス」(仮称)や、米国に輸出する企業などを対象とした「AlmaLinux FIPS 140-3対応サービス」(仮称)も提供する。利用料はAlmaLinux ライブパッチサービスがOS稼働数当たり年額税別12万円、AlmaLinux FIPS 140-3対応サービスが16万2000円になる。

 これらサービスについては、2025年までに10万台での導入を見込んでおり、まずは国内を中心として将来的に韓国や台湾での提供を構想する。サイバートラストとCloudLinuxそれぞれの特色あるセキュリティやコンプライアンスのサービスを組み合わせたソリューションの提供に注力していく。

 サイバートラストは、今後130社の国内パートナーとAlmaLinux関連サービスを提供していく。パートナー向けには、5月22日に技術相談窓口を開設し、製品資料やLinuxの基礎教育コンテンツの提供も開始した。今後は6月13日から無償の技術セミナーを定期開催し、8月1日から有償の教育セミナーも開催していく。

 サイバートラストの参画についてAlmaLinux OS Foundation 議長のbenny Vasques氏は、「AlmaLinux OSとMIRACLE LINUXが一緒になることで、日本のユーザーに新しい可能性を提供することができる。日本のユーザーのために、安全で安定した高い品質のソフトウェアを提供していくことを約束したい」とコメント。CloudLinux 最高経営責任者(CEO)のIgor Seletskiy氏は、「この協業は、日本だけでなく世界中のLinuxコミュニティーをより強くするものになる。われわれのライブパッチ技術は、セキュリティやコンプライアンスに対応しながら安定したサービスを行っていくために重要なものであり、サイバートラストと連携して、日本のお客さまに長期的にサポートを提供していきたい」と表明した。

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