AIエージェントの取材で感じた期待と懸念を3つずつ挙げてみた
今回は「AIエージェントの取材で感じた期待と懸念を3つずつ挙げてみた」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の一言もの申す等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
2024年後半から注目されるようになったAIエージェント。2025年に入って一気にブレイクしたような話題沸騰ぶりだ。生成AIの出現も衝撃的だったが、そこから進展したAIエージェントは、企業にとって非常に大きなインパクトをもたらすものになりそうだ。筆者もこのところAIエージェントをテーマにした取材が多い。そこで、そうした中から筆者が感じたAIエージェントに対する期待と懸念を3つずつ挙げてみた。チェックしてみていただきたい。
まずは、3つの期待について述べる。
AIエージェントは、業務のタスク処理を効率化できる生成AIから進展して業務のプロセスを効率化、さらには自動化することができるので、コスト削減や生産性向上といった業務改善効果が期待できる。さらにさまざまな業務のAIエージェント同士が連携して自律的に作業を実施するようになると、もっと広い範囲の業務プロセスの効率化が可能となり、人間を強力にサポートしてくれる存在となり得る。
そこでもう一言申し上げておきたいのは、AIエージェントを導入した結果として業務改善効果を生み出すのではなく、AIエージェントを導入する目的として最初から業務改革を掲げ、その中身を明らかにした上で活用していくという形にすべきだ。つまり、目的はあくまでも業務改革であって人間がその具体的な計画を立てて明確化し、それに基づいて適切なAIエージェントを業務改革推進のまさしく「代理人」として活用するということだ。
企業のIT活用において「経営とITの融合」は、目指すべき目標としてこれまで多くの企業が取り組んできた。だが、その実現が難しいことも広く認識されてきた。経営は「業務」と言い換えてもいい。人間に置き換えると、経営者やビジネスパーソンと、ITを担うエンジニアとも言えるが、これまではこの両者の間のコミュニケーションにはギャップが生じやすかった。AIエージェントがそのギャップを埋める役割を果たすのではないか。
そこで重要なのは、さまざまな業務を担うAIエージェント同士が自律的に連携して動くことだ。それによって、経営とITを一体化させる方向が見えてくるのではないか。ここでも一言申し上げておきたいのは、「期待1」の業務改革と同じように、経営とITの融合もAIエージェントを導入する際の目的として大きく掲げたいところだ。それこそ経営トップの役目であることを明言しておきたい。
生成AIの活用はアプリケーションとして捉えてもよかったが、AIエージェントは業務プロセスにおいてさまざまな動きをするのでシステムとして捉える必要がある。しかも複数のAIエージェントが連携して業務を動かすことになるので、それらのデータの管理や活用も含め、事業部門あるいは企業全体の業務形態を見据えて、AIエージェントを活用するシステムの設計から構築、運用の仕方についてあらかじめ考えて臨むことが望ましい。
企業においてAIエージェントの導入・活用は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みと受け止められているが、上記のようにAIエージェントをシステムとして捉えるならば、改めてIT部門の役割が重要になるのではないか。つまり、企業全体のシステムの企画から構築、運用をIT部門がリードしながら、業務部門と密接に連携して、企業としてAIエージェントシステムを生かせるようにしていくのである。そうすることによって、IT部門が本来目指していた業務改革、そして経営とITの融合への貢献を果たすことができるだろう。