SAPジャパン社長が語る「AIエージェント戦略」とは
今回は「SAPジャパン社長が語る「AIエージェント戦略」とは」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、SAPジャパン 代表取締役社長の鈴木洋史氏と、アクロニス・ジャパン 代表取締役社長の川崎哲郎氏の「明言」を紹介する。
SAPジャパンの鈴木氏は、同社が先頃開いた2025年のビジネス戦略についての記者説明会で、生成AIおよびAIエージェントの活用に注力することを語った上で、上記のように強調した。特に「革命を起こしていく」という強い表現が印象的だったので、明言として取り上げた。
会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは上記の明言の背景にあるキーワードであるAIエージェントに関する鈴木氏の発言に注目したい。
鈴木氏は、SAPジャパンのビジネス戦略における2025年のテーマとして「AIファースト、スイートファースト」を掲げた。とりわけ「AIファースト」という表現に同社のAIへの力の入れようがうかがえる。中でも今回の会見で筆者が注目していたのは、これまで人がやっていた業務を自律的に代行して自動化できるAIエージェントについて、同社が日本でどのようにビジネス展開していくのかだ。
なぜ、その点に注目していたかというと、AIエージェントはまず業務ソフトウェアに組み込まれた形で使われていくとみられるからだ。具体的には、業務ソフトウェアの業務プロセスがAIエージェントの活躍の舞台となり、AIエージェントがさまざまな業務ソフトウェアの業務プロセスをつなげて自律的に動き回ることで業務の自動化が進み、生産性が飛躍的に向上することになる。
SAPは統合基幹業務ソフトウェア(ERP)をはじめ、さまざまな業務領域のソフトウェアを提供しており、その影響力はこの市場で最も大きいとみられることから、AIエージェントの活用においても同様に同社の動向が注目されている。
鈴木氏はAIエージェントについて、「自らの意思で行動するAIとして、SAPの各種業務ソフトウェアにおける業務プロセスをエンド・ツー・エンドでつないで実行してくれる。まるで各業務の担当者が相互に連携して仕事を進めるのと同じように。こうした動きが、業務ソフトウェア市場に革命を起こしていくことになる」との見方を示した。
SAPはグローバルにおいて、2024年10月にAIエージェントへの本格的な取り組みを発表し、その後、各業務向けに順次商品化を進めている。そこで、今回の会見の質疑応答で日本での展開を聞いたところ、鈴木氏は「日本での提供時期はまだ決まっていないが、今年前半には日本語化した上で順次商品化していきたいと考えている」と答えた。
ただ、ユーザー企業からすると、業務ソフトウェアにおけるAIエージェントの活用で懸念されるのは、複数ベンダーの業務ソフトウェアを使っている環境でもAIエージェントを連携させて活用できるのかどうかだ。上記の鈴木氏の話もあくまでSAPの利用環境が対象であり、この点についてはすでにAIエージェントの組み込みを表明している業務ソフトウェアベンダー各社も全く同じだ。
この懸念に対して、業務ソフトウェアベンダーが今後どのようなソリューションを用意するのか。さらに、複数ベンダーの業務ソフトウェアを扱うITサービスベンダーとの協業についても新たな取り組みが必要になりそうだ。
そうした中で、業務ソフトウェア市場をリードするSAPがどう動くか。注視していきたい。