「Ubuntu 25.04」レビュー–派手さはないが堅実なアップデート

今回は「「Ubuntu 25.04」レビュー–派手さはないが堅実なアップデート」についてご紹介します。

関連ワード (さまざまなLinuxディストリビューションの世界、特集・解説等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 「Ubuntu」はずっと前から「Linux」の代名詞的な存在となっている。それには十分な理由がある。Ubuntuは市場で最も使いやすいLinuxディストリビューションの1つであり、優れたハードウェア検出機能も備えている。さらに、最初から「Debian」をベースとしている。

 米国時間4月17日、Ubuntuの最新バージョンがリリースされる予定だ。そのバージョンは「Ubuntu 25.04」(「Plucky Puffin」)で、短期サポート(STS)版である。STS版のサポート期間は長期サポート(LTS)版よりも短く、25.04のサポート期間は2026年1月までとなっている。

 ほとんどの場合、STS版はLTS版ほど刺激的ではない(人気も低い)が、25.04には、いくつかのサプライズが含まれている。

 25.04では、Ubuntuインストーラーに少し改善が施されている。具体的には、デュアルブートプロセスが改良され、「Windows BitLocker」で暗号化されたディスクの処理も向上している。インストーラーが改善されたおかげで、最も簡単にインストールできるOSの1つというUbuntuの地位が、より強固なものになっている。

 改善点の多くは、「GNOME」デスクトップ環境の最新バージョンによってもたらされたものだ。「GNOME 48」は大きな話題を呼ぶリリースではなかったものの、パフォーマンスが大幅に改善されたほか、優れた機能もいくつか追加された。「設定」に新たに追加された「Wellbeing」(ウェルビーイング)セクションもその1つだ。

 Wellbeingセクションは、スクリーン使用時間を表示したり、スクリーン使用時間の上限を設定したり、休憩リマインダーを設定したりできるという点で、「Android」の「Digital Wellbeing」アプリとよく似ている。この便利なアプリは、休憩を取ることを忘れて、コンピューターの画面を見続けてしまうことがよくある人(筆者もその1人だ)に最適だ。

 Wellbeing機能にアクセスするには、「設定」を開いて、左側のサイドバーのWellbeingをクリックする。

 そのほかの改善点には、通知のグループ化、HDRサポート、通常のアプリアップデートなどが含まれる。

 25.04には、重要な改善点が1つある。フレームのスケジューリングとレンダリングを最適化することで、アニメーションの滑らかさとデスクトップ全体のパフォーマンスを向上させるGNOMEの新しいトリプルバッファリング機能だ。筆者が見た限りでは、この機能は実際に効果を発揮している。25.04は、筆者が長年試してきた中で、画面が最も滑らかに表示されるUbuntuデスクトップであるからだ。

 正直に言うと、Ubuntuのように予測可能なLinuxディストリビューションのレビューは、退屈な内容になることもある。そして、それこそが25.04の最も素晴らしい点の1つだ。つまり、25.04は予測可能である。それは、どういう意味なのだろうか。

 ログインしてすぐに、筆者はUbuntu 25.04が安定性や使いやすさ、優れたデザインなどの特徴を備えていることを確信した。それはなぜか。Ubuntuはずっと前からそれらの長所を有しており、Canonicalはうまく機能しているものをいじるような企業ではないからだ。

 そのため、新しいUbuntuリリースをインストールするときはいつも、どんな体験を享受できるのかをほぼ予想できる。つまり、デスクトップは(洗練度が少し増しているものの)これまでと同じで、すべてが期待通りに機能する。

 筆者が記憶している限り、Canonicalがゲームチェンジャーと言えるようなサプライズを含むUbuntuのバージョンをリリースしたことはない。Ubuntuは、予測可能な改善をゆっくりと着実に積み重ねて、現在の姿になった。それで何も問題はないと思う。

 25.04もそうした流れを踏襲している。25.04で見つけた最大のサプライズは、標準のドキュメントビューアーが変更されたことだ。25.04では、標準のドキュメントビューアーが初めて「Evince」から「Papers」に変更された。これは喜ばしい改善だ。大規模な変更ではないが、筆者は驚かされた。

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