モニタリング対象はシステムからユーザー体験に–Datadog・国本代表

今回は「モニタリング対象はシステムからユーザー体験に–Datadog・国本代表」についてご紹介します。

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 ITシステムのモニタリングは昔から重要な運用管理業務の1つだが、近年は稼働状況だけでなくユーザー体験(UX)の観点からも重要性が増している。モニタリングのSaaSを提要するDatadog Japan カントリーマネージャーの国本明善氏に、トレンドを聞いた。

 2010年に創業したDatadogは、「リアルタイム統合データプラットフォーム」を中核に、ITインフラストラクチャーのモニタリングからアプリケーションパフォーマンス、ログ分析、UX、ネットワークパフォーマンス、セキュリティと、モニタリングの対象を順次拡大してきた。グローバル顧客は1万3000社以上(日本は約1000社)で、当初はクラウドを活用するスタートアップやオンラインサービスなどのユーザーが中心だったが、近年は金融や製造などの大手の導入も増えているという。2020年2月に就任した国本氏は、20年ほど日本IBMでデータ分析事業などの要職を歴任し、直前にはマイクロフォーカス日本法人社長を務めた。

 同社サービスで最も古いITインフラのモニタリング機能は2012年に提供を開始し、仮想サーバーからコンテナー、サーバーレス、マイクロサービスへとテクノロジートレンドが変化するにつれて大手の採用が増えてきたという。「日本法人設立以前からの顧客も多く、直近では金融の採用が拡大している。クラウド化が本格的に進んでいるが、導入リスクを懸念してきめ細かいモニタリングを実施したいとの意向が強い」(国本氏)

 KDDIなどの通信大手やニコンなどの製造大手での導入も多く、マルチクラウド化するIT環境のモニタリングを行っている。「顧客の約7割はコンテナー化やマイクロサービス化などを見据えた利用になる」と国本氏。伝統的なオンプレミスの運用管理ツールから移行する顧客も目立つという。

 また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の文脈から、DevOpsやCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプラインの一貫として導入するケースも多いとする。同社のプラットフォームが取り込めるデータソースは、確認済みサードパーティーを含め400種近くあり、同社がこれをサポートする。最小15秒単位のメトリクス粒度や事前設定済みダッシュボードの利便性なども評価されていると国本氏は強調する。

 これらトレンドの中でにわかに注目され始めたキーワードの1つが、「オブザーバビリティー(可観測性)」だ。システム稼働の正常/異常といったモニタリングだけでなく、アプリケーションやネットワーク、ユーザーインターフェースといったより広範な領域をモニタリングすることで、ビジネスのボトルネックとなる部分の特定や原因究明、改善などにつなげるという概念になる。

 近年は、オンプレミス/クラウドといったシステム環境の複雑化というIT側の課題に加え、ユーザー接点の多様化(マルチチャンネル化)への対応、オンラインコンバージョン(成約)の向上といったビジネス上の課題も大きなものとなる。昨今のコロナ禍で進行しているビジネスのデジタル化やオンライン化も、オブザーバビリティーが注目される背景となっている。

 ベンダー側では、アプリケーション性能モニタリング(APM)からNew RelicやDynatraceなどが認知度を高めつつあり、直近ではAppDynamicsを展開するCisco Systemsが2020年12月にDashbaseの買収を表明。ITインフラからもSplunkが2020年10月に、PlumbrとRigorの買収による「Observability Suite」を発表した。

 Datadogも、2020年12月に、ユーザーセッションとバックエンドサービスを相関付けることで、リクエストに対するフロントエンドとバックエンドの処理時間などからUXのボトルネックを追求できる機能をリリースした。「ユーザージャーニータグ」を用いてUXに影響する要因をトレースやロケーション、デバイスなどの軸で調査できるという。

 国本氏は、コロナ禍によって「『2025年の崖』と称されるメインフレームのモダナイズといった課題への対応も前倒しで進んでおり、金融などのクラウドに保守的だった業界でもクラウド化が加速している。市場でのモニタリングの重要性がますます認識されるだろう」と話している。

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