KDDI、障害は「ほぼ復旧」と発表–過剰通信で当初見通しより遅れ
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KDDIは7月4日午後8時からオンラインで記者説明会を開き、7月2日未明に発生した大規模な通信障害がほぼ復旧したと発表した。3日に実施した復旧作業後にも新たな問題が見つかり、障害の解消が長引いたとしている。
大規模な通信障害は約2日半にわたって発生。音声通話やSMS送受信、データ通信が使いづらい、使えないなどの状態に陥り、同社は最大で約3915万回線に影響が出たと試算している。取締役執行役員専務 技術統括本部長の吉村和幸氏は、「現在までに通話、SMSの送受信、データ通信はほぼ復旧している」と説明した。
3日の会見で同社は、障害が2日未明に行ったモバイルコアネットワークのコアルーターの交換時に発生した故障に起因すると説明。この際に約15分間の音声通信の途絶が起き、同社では切り戻し作業を行ったが、途絶から復旧した際にVoLTE交換機にアクセス集中による輻輳(ふくそう)が発生した。その後に、VoLTE交換機と連動して契約者端末の位置情報を記録・管理する加入者データベース(DB)が高負荷状態に陥り、VoLTE交換機と加入者DBの間で位置情報の登録の不一致も発生し、通信流量の制限や問題のある処理プロセスのリセットなどに対策を講じ、同日午後5時30分頃に復旧作業を完了させたとしていた。
しかし、作業完了後も状態の監視やネットワーク検証などのために通信流量の制限を継続し、障害の影響は4日も続いた。吉村氏によると、復旧作業後に18台中6台のVoLTE交換機において加入者DBに対し不要な信号を過剰に繰り返し送信していることが判明。加入者DBの負荷が従前の作業後に想定よりも低下しなかったという。
このため4日午後12時18分から午後1時18分に、過剰通信を発生させた6台のVoLTE交換機と加入者DBの接続を遮断する措置を講じたという。これにより加入者DBの負荷の低減を確認し、VoLTE交換機と加入者DBの稼働が障害発生前の水準に安定したことから、午後2時51分に通信流量の制限を解除、復旧作業を全て終えたとしている。なお、現状で6台のVoLTE交換機を加入者DBから切り離しているが、処理能力には問題がないとしている。これらの機器についても今後詳しく調査していくという。
吉村氏は、引き続きネットワークの状態と契約者のサービス利用状況を監視し、遅くとも5日夕方頃に完全復旧の有無を判断するとした。今後は障害発生の詳しい調査と再発防止策を検討していくとし、契約者などへの補償については引き続き検討し、別途案内するとしている。