激動の時代には「不安定」な経営と生成AIが必要
今回は「激動の時代には「不安定」な経営と生成AIが必要」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
最近では、多くの企業経営者や個人事業主の人たちから、「状況が落ち着く」まで、次の一手を打つ、あるいは次の大きな判断を下すのを先延ばしにしているという話を聞くことが多い。数年にわたって波乱や想定外のできごとが続いていることを考えれば、理解できる話ではある。
しかし残念ながら、今後も状況が落ち着くことはないだろう。それを待って時間を無駄にするのは、もうやめにしなくてはならない。私たちは、周囲の変化をもっと敏感に感じ取り、受け身になったり、抵抗力を高めたりするするのではなく、素早く状況に対応していく必要がある。もし、パフォーマンスの高い未来の組織、境界のない組織を作りたいのであれば、安定を求める意識を捨てなくてはならない。私たちは、自分たちのビジネスを、本質的に不安定なものとして組織し、計画し、設計する必要がある。
しかし、ここで言う「本質的に不安定」とはどういうことだろうか。
ほとんどの飛行機は、安定して飛べるように作られている。これは、攪乱を受けた際に、最低限のパイロットの介入で、航空力学的な平衡状態に戻るようになっていることを意味する。通常の状況であれば、これは非常に望ましい特性だと言えるだろう。このような特性を持った飛行機は、限られた訓練しか受けていない人でも比較的簡単に操縦できるため、より多くの人が飛行機を飛ばすことができる。従ってこれは素晴らしいことのはずだが、それには代償が伴う。飛行機の機体が安定すればするほど、操縦性が低くなるためだ。これは、日常的な状況ではほとんど問題になることはない。しかし、環境や競争の力が作用して、素早い反応が求められるような厳しい状況では、このトレードオフが問題になり始める。
例えば戦闘機の場合、戦闘中の操縦性が低ければ大きな問題になる。このため戦闘機は、まったく逆の特性を持つように設計されている。操縦性をできるだけ高めるために、本質的に不安定になっているのだ(この特性は、専門用語では「静安定緩和」特性と呼ばれている)。
問題は、人間の手で本質的に不安定な航空機を制御することは(たとえ高度な訓練を受けたパイロットであっても)ほとんど不可能だということだ。そのためパイロットは、飛行状況を感じ取り、1秒間に数千回の計測を行って操縦翼面を常に操作する、フライバイワイヤーと呼ばれるコンピュータ化された飛行制御システムに頼っている。設計に織り込まれた不安定性と、リアルタイムフィードバックループを備えたコンピュータ化された制御システムの組み合わせは、人間のパイロットに操縦性と安定性の両方の利点を提供している。
つまり、戦闘機のパイロットは、飛行機を飛ばすのに機械の助けを必要しているということだ。操縦性に特化した飛行機は、どんなに訓練を受けていたとしても、オンボードコンピューターの支援なしでは人間の手で飛ばすことはできない。しかし、コンピューターの力を借り、AIシステムに飛行機を浮かせる作業を任せることで、目的達成のために航空機の操作性を高めているわけだ。