CoEで変革を推進–Celonisが考える業務改善
今回は「CoEで変革を推進–Celonisが考える業務改善」についてご紹介します。
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業務実行管理システム(EMS)を提供するCelonisは、企業での本質的な変革を推進するには、センターオブエクセレンス(Center of Excellence:CoE)の設立が有用と述べた。
同社は、顧客企業のプロセスを可視化することで、明らかになった非効率性をデジタルで解消するためソリューションを提供していると代表取締役社長の村瀬将思氏は述べ、「プロセスマイニングとData Execution(データを基軸とした業務の自動実行)により、人々の働き方を変え、持続可能性を担保し、人々と社会のパフォーマンスを無限大に開放」することがパーパス(目的)と説明。生産性向上が求められる日本企業にとって「救世主となるようなプラットフォーム」としている。
Celonisは、各部署で使われるシステムがある「System of Record(SoR)」「System of Engagement(SoE)」レイヤーの上に「System of Performance」という新しいテクノロジーカテゴリーを定義する。ここでは、EMSとして、各業務システムからログファイルを取り込む「データ」、機械学習機能で可視化して非効率性を発見する「インテリジェンス」、業務を自動実行する「アクション」という3段階で処理を実行する。
日本企業の業務改善はボトムアップになりがちだが、Celonisでは、全社中期経営計画から優先順位を設定して改善が図れるため「高い視座での全社最適」を狙えるという。しかし、それを推進するのはあくまでも人ということで、企業内のトップタレントを集め、全社横断的に改善を進める権限を与えたCoEの編成が重要と村瀬氏はアピールした。
独Celonisの組織改革担当バイスプレジデントであるLars Reinkemeyer氏は、SiemensでCelonisを使ったプロセスマイニングを主導した経験を持ち、著書として「プロセスマイニングの衝撃」がある。Siemensでの事例と共にCoEの重要性について説明した。
Reinkemeyer氏は、Siemensに20年以上務め、上級管理職としてビジネスインテリジェンス(BI)を担当した。Celonisとの出会いは2014年だったが、プロセスを理解し、異なる取引システムを多数用いるSiemensのような企業でプロセス効率の改善を可能にする能力に驚かされたという。
Siemensは同年、Celonisを導入し、プロセスマイニングを開始する。プロセスが実行されるさまざまなレガシーシステムや組織を可視化するのは目から鱗が落ちるような体験だったという。実際のプロセスを理解した後、グローバルな透明性を持って事実に基づいた議論を展開し、組織全体で効率性を高める方法を学習したが、同社が持つ複雑性のため、時間を要したという。
2018年には実行管理を導入した。Celonisの使用により、スマートな方法でプロセスを実行できるよう、プロアクティブアラートに重点を置いてプロセスの実行方法を改善することを始めた。ただし、最終的な目標は、プロセスの非効率な部分を見つけることではなく、企業の価値を高めることだとReinkemeyer氏。プロセスマイニングと実行管理で重視しているのは、組織の価値を理解して改善し、実現することだという。そのためSiemensでは、インテリジェントオートメーション、人工知能(AI)、機械学習といった、人々がよりスマートに働けるようなテクノロジーの活用を開始している。
Siemensでは、世界中に工場が15以上あり、配送や製造などのさまざまなプロセスでCelonisを活用しているが、6000人以上のアクティブユーザーのコミュニティーがあり、500以上の異なるプロセスでインテリジェントオートメーションが実行されるという。
販売から回収(Order to Cash)を例として見た場合、プロセスマイニングにより、3000万件の注文を処理するために3億以上のアクティビティーと90万以上のプロセスバリエーションがあることが判明したという。このように非効率性を特定した後、自動化し、スマートな方法で処理するようにするのがプロセスマイニングの秘訣だと同氏。
まず、スポンサーとして最高財務責任者(CFO)が、グローバルな組織全体で自動化を推進したいとの考えを明確にし、自動化率などでKPIを定義した。これは、リージョナルマネジメントに対して明確な目標を設定し、やる気を起こさせることになる。世界各地の支社は、行動ボードで確認しながら取り組みを進める。このプログラムでは、中央にCoEを設置することで、プロセスの非効率性を改善することに注力した。
Siemensは、Celonisの導入により、2018年の1年間で1000万件の手作業をなくし、手戻りを11%削減、自動化を24%向上できたという。2020年にはCelonisとグローバルパートナーシップを締結しており、両者は、サプライチェーンの回復力においてCoEイノベーションに取り組んでいるという。