KDDIらが水上ドローンの実証実験–ブルーカーボン算定に必要な藻場を調査

今回は「KDDIらが水上ドローンの実証実験–ブルーカーボン算定に必要な藻場を調査」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 KDDI総合研究所、KDDI、三重県鳥羽市は、水上ドローンを活用してブルーカーボンの算定に必要な藻場調査の実証実験を6月8~9日に実施した。その結果、撮影映像の分析により、海草や海藻が占める面積の割合を把握可能であることを確認した。

 ブルーカーボンとは、海草や海藻、植物プランクトンなど、海洋生物の作用によって海中に取り込まれる炭素のこと。現在、二酸化炭素吸収源の新たな選択肢として注目されており、藻場を対象としたカーボンオフセット制度が推進されている。

 同実証では、水上ドローンをスマートフォンで設定した航路で自律航行させ、搭載した水中カメラで対象の藻場を撮影した。このドローンは、藻場がある地点に着くと定点を保持しながら、スマートフォンで昇降装置を遠隔制御してカメラを指定の水深だけ水中に下ろす。水中の映像はモバイル回線を経由してスマートフォンに伝送されるため、操作者はリアルタイムで水中の様子を確認することができる。

 調査した場所は、三重県鳥羽市菅島および答志島周辺で、調査範囲は、菅島沿岸での150m×1kmの区間、答志島沿岸での200m×700mの区間における計10地点となっている。

 実証実験で撮影した水中映像から、画像処理技術を用いて海草・海藻の色(緑、青や赤など)の濃淡を判別し、海草・海藻と認められる領域のみを抽出した。これにより、藻場において海草・海藻が占める割合(被度)の算出が可能であることが確認できた。

 ブルーカーボンの定量的な測定には、対象生態系の種類や分布面積の把握のための調査が不可欠なものの、進んでいないのが現状となっている。鳥羽市ではこれまで藻場の調査・研究に取り組んできたが、ダイバーによる潜水目視では人的負荷が高いほか、安全性に課題があり、広範囲を定量的・定期的に調査を行うことが困難だった。

 一方、空中ドローンなどで上空から撮影する調査は、藻場の境界を判断することは可能だが、藻場の種類や被度など水中の様子を把握することが困難だった。また、水中ドローンの場合は全地球測位システム(GPS)が使えないため、水中ドローン単体では高精度な位置情報を取得することができなかった。

 そこでKDDI総合研究所は、2020年11月にスマートフォンで遠隔制御が可能な水上ドローンを開発した。また今回の調査に当たり、新たに水中カメラと、そのカメラを水中に下ろしたり、引き揚げたりする昇降装置を搭載した。さらにGPSを搭載しているため、自律航行が可能となっている。

 今後、KDDI総合研究所とKDDIは、画像処理を高度化し、機械学習により藻場の種類を自動識別することで、広域の藻場の実態把握のさらなる効率化に取り組む。また、カメラにセンサーを搭載することにより、水温など水中環境に関わる情報の取得にも取り組む。鳥羽市における実証実験を継続するほか、他の地域の協力を募り、多様な土地特性や算定時期におけるデータを蓄積していく。

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