石狩市とスタディストが連携協定–市民向けオンラインガイドを作成し業務効率化

今回は「石狩市とスタディストが連携協定–市民向けオンラインガイドを作成し業務効率化」についてご紹介します。

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 北海道石狩市とスタディストは2月6日、市役所業務の生産性と市民満足度向上を目的に連携協定を締結した。同日の記者会見には、石狩市長の加藤龍幸氏とスタディスト 代表取締役CEO(最高経営責任者)の鈴木悟史氏が登壇し、連携協定の背景と実証実験の成果を報告した。

 取り組みの第1弾として、スタディストが石狩市にマニュアル作成・共有システム「Teachme Biz」を提供し、デジタル庁が推進する「引っ越しワンストップサービス」や「子育てサポート」に関するオンラインガイドと市民向けマニュアルを両者が共同で作成・公開する。

 Teachme Bizは、画像や動画を用いたマニュアルを作成し、クラウド上で共有するサービス。現在では累計2000社以上の企業が導入しているという。石狩市役所は2020年8月に、基盤システムの入れ替えに加えて、職員が異動する際の引き継ぎのコストを削減するため、同サービスを導入。各部署の業務をマニュアル化した結果、異動者の早期戦力化や組織全体でのナレッジ共有が可能になった。

 同市は2022年を「石狩市DX元年」とし、キャッシュレス決済の導入や行政サービスのオンライン化など、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進してきた。その一環として、スタディストと2022年11月に窓口業務の市民満足度と生産性向上を狙った実証実験を開始。年間2000世帯の市民が転入する同市では都度個別に手続き方法を説明していたため、職員や窓口に来る市民側に負荷がかかっていたという。

 そこで、同社が転入手続きに関するオンラインの「手続きガイド」と「手続きマニュアル」に加えて運用・保守サービスを提供。転出手続きに関連して作成したマニュアルは「転入届の提出」をはじめ、「住所変更の届出」や「ペット(犬)飼育の住所変更の手続き」「児童手当の認定手続き」など31点に上る。

 鈴木氏が発表した同実証実験の中間結果によると、2022年11月7日~2023年1月31日の間で同市への転入は847件。手続きガイドの表示回数は4909件で、そのうち結果画面の閲覧までしたのは305件となり、転入件数の36%が同ガイドを活用した可能性が高いとしている。

 また、市民アンケートからは手続きガイドについて、「便利で必要な情報を得ることができる」「市役所の業務時間外に利用できる」などが評価ポイントとして上がった。他方、職員アンケートでは、手続きガイドと手続きマニュアルの両方で「電話の問い合わせが減ると思う」という意見が見られた。ガイドとマニュアルの公開により、窓口の対応時間は年間で約432時間の削減が見込まれるという。

 同実証実験の結果を受け、そのほかの窓口業務に関しても分かりやすく市民に伝えると同時に、生産性を向上させるため、連携協定を締結。まずは3月までに「転出手続きガイド」と「子育てサポートガイド」の2つを作成する。

 転出手続きガイドでは、基本情報を入力すると、必要な転出手続きが分かる手続きガイドと手続き手順をオンラインで提供し、円滑な転出手続きをサポートする予定だという。転入ガイドは実証実験で既に作成しているため、今回の転出ガイドの作成によってオンライン上で転入出に必要な手続きを全て把握できる状態を実現する。

 子育てサポートガイドでは、同市が提供する妊娠/子育て中の家庭に対する約30種類以上の各種サポートについて、市民が基本情報を入力すれば受給できる助成金や各種サポート、手続方法が分かるガイドを作成。窓口に行かなくても受けられるサポートの種類や申請方法が分かる状態を目指すという。

 今後は、年金や福祉関連など、そのほかの窓口業務に関してもガイドとマニュアルを作成する予定だとしている。

 この連携協定について加藤氏は「多様化する地域課題に対応するため、DXを推進する必要があるが、市民サービスを担当する部署においては日々の業務に追われ、新しいことに取り組むにはハードルが高い。変革を進めるためには人材を確保する必要があり、そのために業務効率化や生産性向上が必要だと感じている。DXは行政の効率化だけでなく、いかに住民の利便性を高めるかが重要であり、そのための生産性向上であると理解している。この連携は、本市のDX推進と連携してサポートしていただける内容であり、協定に基づく取り組みによって市民のため行政サービスの向上につなげていきたいと思っている」とコメントした。

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