エッジもマルチクラウド化が進む–デルのグローバルCTOが説くトレンド

今回は「エッジもマルチクラウド化が進む–デルのグローバルCTOが説くトレンド」についてご紹介します。

関連ワード (経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 米Dell Technologies グローバル最高技術責任者(グローバルCTO)のJohn Roese氏が来日し、同社が提唱するマルチクラウドの方針「Multi Cloud by Design」の狙いなどについて触れた。

 Roese氏によると、グローバルCTOの役割は、同社の幅広い製品ポートフォリオで活用される全てのテクノロジーを社内外に認識してもらうことと、今後の投資や成長の方向性を見極めることだという。同社は現在、ハイブリッドクラウド、5G、エッジコンピューティング、データ管理、人工知能/機械学習(AI/ML)、セキュリティの6つ分野に投資をしていくことを明らかにしている。

 「これらは既存事業に隣接し、重要な顧客がいる。既存事業との組み合わせで『TAM(Total Addressable Market)』は倍増が見込まれる。現在当社の売上規模は約1000億ドルだが、6つを組み合わせた対象市場は1兆3000億ドルにもなる」とRoese氏。既存事業拡大のエンジンがこれらの6つのテクノロジーへの投資になる。

 同社は、マルチクラウドでの他社との差別化方針で「Multi Cloud by Design」を提唱。「計画されたクラウド」と定義し、複数のクラウドを1つのシステムとして利用し、あらゆるクラウドサービスで提供されるコンピュート、ストレージ、ネットワークを効率的に活用し、データを自由に行き来させ、一貫性のあるセキュリティ対策をさまざまな環境で利用できる。これに対して、複数のクラウドが林立しサイロ化された状態を「Multi Cloud by Default」と呼ぶ。システムが複雑化し管理が煩雑になり、それによりセキュリティリスクが高まるとする。

 「クラウドサービスの管理はサービスごとに独自で、独自開発されて連携できない。当社は、5年前に各管理プレーン上にソフトウェアを構築し、全体管理することと考えたが、開発者がAWS(Amazon Web Services)を利用するならAWSのサービスを活用しなくてはならず、そこに何百種もの異なるアプリケーションや機能があり、一元的管理が難しいと分かった。しかし、パブリッククラウドには共通利用できる部分があり、ストレージやエッジの管理、セキュリティやデータ復旧は見かけやふるまいを同じようにできることに気がついた」

 ここでRoese氏は、APIの考え方を一例に挙げた。APIは、もともとOS機能の呼び出しで使われるものだが、今ではソフトウェアやウェブサービス同士を接続するインターフェースを指す言葉として使われることが多い。「複数のアプリケーション同士を連携するAPIはそれぞれにインターフェースが異なるものの、OSで提供するAPIは1つによりさまざまなアプリケーションと連携できる。同様に当社が目指すのはマルチクラウドのOSのようなもの」

 パブリッククラウドごとのさまざまな機能を1つのプラットフォームにまとめるのは難しいが、それを運用や管理する部分は、1つのインターフェースに統合できるというわけだ。ServiceNowがシステム管理でマルチクラウド環境の一貫性を持たせ、Snowflakeはデータ管理でマルチクラウド環境をサポートする。こうしたツール活用もDell TechnologiesのMulti Cloud by Designの実現につながる。

 「マルチクラウドの目的は、各クラウドサービスで生まれるイノベーションを隠すことではない。クラウドサービスの機能はそれぞれ利用できるべきだ。複数クラウドを1つのシステムのように運用できるように整理することが大切」

 いまやマルチクラウドが一般的な選択肢になる。企業の9割以上が複数クラウドを利用しているとのデータがあり、オンプレミス環境が多いVMwareユーザーに限定しても約75%が2つ以上のクラウドサービスを利用している。

 「Multi Cloud by Design」の第一歩は、意思を持ったマルチクラウドのデザインである。どのクラウドで、どの機能を活用するのかデザインを描き、その上でデータを自由に活用し、高次元のセキュリティによる一貫性ある運用でマルチクラウドをより効果的に活用できる。

 マルチクラウドに関する新たな取り組みとしてDell Technologiesは、「Project Frontier」を発表した。Roese氏は、「Project Frontierとはソフトウェアプラットフォームであり、マルチクラウドエッジプラットフォームの進化型になる」とする。

 「ある小売店がPOS(販売時点)システムや監視カメラ、人事管理など5種類のエッジコンピューティングを既に導入している。エッジがマルチクラウド化している。だが、エッジでAWS、Azure、Google Cloud、VMware、Red Hatなどそれぞれのサービスに専用サービスがある。Project Frontierは単一の物理的なプラットフォームにソフトウェア定義型エッジを複数搭載できる。ラボで4~5つのエッジが動いている」

 Project Frontierは、情報システムとしてのエッジだけでなく、制御系システムのエッジにも対応し、エッジのマルチクラウド環境の運用を簡素にし、エッジへの投資を最適化してエッジ資産を保護するという。「Project Frontierを数年前から進めてきたが、先週(米国時間2022年10月12日)に正式発表した。2023年早々に製品として提供できる」

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