本物のクラウドと従来型サービスを誤解していないか–ガートナーが流行解説
今回は「本物のクラウドと従来型サービスを誤解していないか–ガートナーが流行解説」についてご紹介します。
関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
ガートナージャパンは11月2日、日本企業が2023年に向けて注目すべきだとするクラウドコンピューティングのトレンドを発表した。企業がクラウドを正しく理解しなければ、判断を誤る恐れがあるという。
発表で同社アナリスト ディスティングイッシュト バイス プレジデントの亦賀忠明氏は、クラウドをめぐる状況が年々複雑化、多様化し、多くの企業がクラウドで起きていることの全容を把握したり、明確な戦略の方向性を打ち出したりすることが困難になっていると指摘。以下のように、同社としてのクラウドトレンドを解説している。
ガートナーが定義するクラウドコンピューティングとは、「スケーラブルかつ弾力性のあるITによる能力を、インターネット技術を利用し、サービスとして企業外もしくは企業内の顧客に提供するコンピューティングスタイル」になる。IaaSやPaaS領域で代表的なハイパースケーラーが数百万台のサーバーを有して地球規模にサービスを展開するスケーラビリティーと急激なワークロードの変化に対応できる弾力性を持ち合わせている。
ハイパースケーラーなどのプレイヤーが提供するサービスは、10年以上にわたって数百もの多様なサービス部品からなるサービス部品の集合体、分散クラウドへと進化し、サーバー、ストレージ、データベース、ネットワーク、セキュリティ、運用などはもとより、クラウドネイティブ関連、アナリティクス、人工知能(AI)、IoT、量子コンピューター、人工衛星サービス、コスト最適化サービスなどのさまざまなサービスが含まれるようになった。プレイヤーは年商数十兆円、開発投資も数兆円という規模を持つ。こうした本物のクラウドと従来型のアウトソーシングや仮想ホスティングサービスを明確に分けて議論すべきであり、誤解が続くと、企業は重要な判断を誤るので相当に注意が必要である。
ミッションクリティカルな領域におけるクラウド適用に関する概念と具体的実装に関する議論を指す。例えば、メインフレームのワークロードをクラウド化できるかといったようなことを含む。メインフレーム市場から撤退を表明するベンダーが現れ、企業はこれまで以上にミッションクリティカルワークロードのクラウド化の可能性を検討する必要性に迫られている。なお、ミッションクリティカルクラウドという“新しいクラウド”が出てきたというわけではない。
従来型のシンプルなスタックから構成されるオンプレミスではなく、クラウドネイティブの要素を取り入れた新しいオンプレミスになる。ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)ベンダーはもとより、ハイパースケーラーが提示するハイブリッドソリューションでのオンプレミスもNewオンプレミスに含まれる。「オンプレミス vs クラウド」の議論は過去のもの。どちらかに関係なく従来型(Old)から新しい(New)のやり方、スタイルへの大転換が起きていることに気付くべきである。従来型のやり方/スタイルは、2030年には相当減少し、場合によってはなくなっている可能性があり、それを前提に戦略を再定義する。
ソブリンとは、「主権」という意味。地政学的変化が大きくなる中、ソブリンクラウドに関する議論が真剣なものになりつつある。欧州では、力を増すハイパースケーラーからにコントロールを取り戻す議論があり、米国では自国にとって脅威となり得る他国からのアクセスリスクを軽減する議論がある。日本ではこれらに加え、国内有事の際にどう備えるべきかといったような議論も一部で真剣なものとなりつつある。ただし、ハイパースケーラーが危ないから国産クラウドにすべきといった極端な議論はいけない。議論を整理し、過剰な反応になり過ぎないこと。
サステナビリティー(持続可能性)の中でも「環境サステナビリティー」が主要なハイパースケーラーの戦略的注力分野になっている。企業は、主要なハイパースケーラーの戦略展開を確認し、何を学べるかを見つけるべきである。例えば、二酸化炭素排出量の可視化や最適化支援サービスなどを注目しておくと良い。