VR/ARのビジネス利用–顧客サービスに取り入れた2企業の事例

今回は「VR/ARのビジネス利用–顧客サービスに取り入れた2企業の事例」についてご紹介します。

関連ワード (メタバースが変える仕事と社会、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 他のエンジニアリング会社や建築会社なら、クライアントを候補地に連れて行って開発計画を説明する際に、写真を何枚も貼り付けた台紙やモックアップの図面を使うだろうが、Halff Associates, Inc.のやり方は少し違う。同社は「Oculus Quest」をクライアントに手渡して、仮想世界に配置された開発計画を見せる。こうすることで、下から見上げたときの高さや、建物が土地の区画に占めるスペースの大きさが分かり、その設計が本当に機能するのかを確認できる。

 「われわれの仕事では、コンセプトやアイデアを売ることが多い。ある意味で、感情やフィーリングを売るようなものだ」。Halff Associatesのランドスケープアーキテクチャー担当ディレクターであるDavid Buchanan氏はこのように述べた。

 「仮想現実(VR)によって何が可能になったかというと、これまでボードで説明していたものを実際に見ながらも、髪に当たる風や顔に注ぐ陽光を感じることができる。また、VRによってディテールの層の厚みが増し、コンセプトを伝える舞台装置が整う」

 Halff Associatesは仮想現実と拡張現実(AR)の技術を2018年から活用している。VRとARの利用が成功した最初のプロジェクトは、町の広場に円形劇場と公園の建設を検討していたテキサス州のある都市がクライアントだった。

 Buchanan氏によると、同社のユースケースでは、エンジニア、公園レクリエーション局の関係者、市長からなるクライアントを空き地に連れて行き、プロジェクトの完成予想イメージの中に完全に没入してもらったという。

 「彼らは(ヘッドセット)を外して現在の状態を確認した後、ヘッドセットを装着して未来の状態を見ることができた。これが非常に劇的な影響を与えた」とBuchanan氏。「より複雑で高価なオプションを選択することを全員に納得させるのに、それほど時間はかからなかった」

 同社はまた、AR/VR技術をプロジェクトの初期段階でも利用して、実際に物理的な場所を訪れることなく、その場所の現場をクライアントに見せている、とBuchanan氏は語る。

 「現場まで足を運んで分析する場合、木々が生い茂っているせいで、あるいは年配のクライアントが木の密生する場所を通れないために、現状の確認が非常に難しいことがある」と同氏は述べた。「そういうときは、ドローンパイロットが『iPad』をハンドヘルドデバイスに装着する。クライアントはVRヘッドセットを手渡され、ドローンが見ているものをリアルタイムで実際に見ることができる」

 Halff Associatesは、VR/AR技術の利用が自社と顧客の双方の利益になることを実証した。このような企業が増加しており、ヘルスケアから小売、不動産、製造まで、多様な業界セクターが、成長と変化を続けるこの技術を最大限に活用する方法を模索している。

 VR/ARの世界市場は、2020年の41億6000万ドルから大きく伸び、2028年までに977億6000万ドルに達する見込みだ。

 VRとARは、視覚、聴覚、触覚、体性感覚など、さまざまな感覚モダリティーを通して、現実世界の環境でインタラクティブな体験を提供する。メタバースの人気がこれまでになく高まる中で、Halff Associatesなどの企業はこの技術を未来とみなしている。

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