第2回:サプライチェーンに影響を与えるリスクとは
今回は「第2回:サプライチェーンに影響を与えるリスクとは」についてご紹介します。
関連ワード (今こそ考えるサプライチェーンリスクマネジメント、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
前回は、サプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)の重要性がなぜ増しているかについて、特に近年はサプライチェーンを覆うリスクが多様化・複雑化していること、かつ異常気象、新型コロナウイルス感染症によるパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻などでその脆弱(ぜいじゃく)性が顕在化したことを解説しました。今回は、具体的にどのようなリスクが考えられるのかについてご説明したいと思います。
企業は常に、多くのリスクに囲まれています。いろいろな分類の仕方があると思われますが、ここでは「ハザードリスク」「社会リスク」「経営リスク」という形で整理しました。一概には言えないものの、社会リスクや経営リスクはある程度予見が可能、または対処する時間的猶予があるものが多い一方、ハザードリスクは予見可能性が低く、突発的に顕在化するリスク事象と位置づけることができます。
いわゆる事業継続計画(BCP)で想定されるのがハザードリスクになります。予見可能性が低く、突発的に発生して対処するための時間に制約があるためです。ハザードリスクについては、縦軸に「事業への影響」、横軸に「発生頻度・発生可能性」をとった上でリスクマップとして整理する手法があります。個々のリスク事象の特徴が分かり、自社が取り組むべき優先順位が明らかになるはずです。
それぞれのハザードリスクの特徴をまとめます。
地震・津波・噴火:発生頻度は低いものの、予測困難で突発的な事象であることが特徴です。人的被害・物的被害に加え、広域な被害を伴うことから社会インフラやライフラインが阻害されることがあり、事業の回復に時間を要します。
風水害・土砂崩れ:突発的ではなく時間とともに事態が進展していきます。事前にはハザードマップ、リアルタイムにも気象予測からリスクの高まりを把握することができます。適切な対応をすれば被害の予防・低減が可能であることから、防災対策の費用対効果が高いリスク事象と言えます。
火災・事故:被害は局地的であるものの、火災の場合は延焼などによって人的・物的被害が拡大する恐れがあります。早期に覚知して影響を見極めることが対処において重要になります。
感染症:新型コロナウイルス感染症のように、その影響が非常に長期間に及ぶのが特徴で、その他の自然災害とは明確に違う性質のインシデントと言えます。また、発生は突発的ですが、その影響は時間をかけて広がる「進行型」であるため、対処を行う時間的猶予はあると言えます。感染症とサプライチェーンについては次回のテーマとして取り上げます。