リテールメディアネットワークの構築に必要なこと

今回は「リテールメディアネットワークの構築に必要なこと」についてご紹介します。

関連ワード (マーケティング等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Target、Best Buy、Macy’s、Carrefourといった世界の大手小売業者の名前を聞くと、ほとんどの人はそれらの企業が消費者に提供している商品のことを思い浮かべるのではないでしょうか。一方、私たち広告ビジネスに携わる人が最初に思い浮かべるのは、それらの小売業者が広告事業に参入したことによって獲得してきた膨大な収益化の機会です。そうした世界的な小売業者は、「リテールメディア」という成長が見込まれる機会を捉え、自社のECサイトをメディア資産に変えることによって、可視性が高く魅力的な広告インベントリーをブランドに提供しています。

 リテールメディアは10年以上も前からAmazonで展開されていますが、ECの拡大やブランドセーフティーが確保された安全な広告出稿先に対するニーズの高まりから、この3年で幅広く小売業者から注目されるようになりました。また、サードパーティークッキー廃止の流れを受けて、堅固でプライバシーが保護されたファーストパーティーデータの利用が急増したことで、小売業者による自社のリテールメディアネットワーク(RMN)の構築を後押しすることとなり、メディアの覇者としてリテールメディアは大きな注目を集めるようになりました。その一例が、米大手小売りの代表格であるTargetのメディアネットワーク「Roundel」です。

 自社のECサイトをメディア化して販売することは、小売業者と広告主の両方にメリットをもたらします。小売業者は新たな収入源を創出することができ、広告主はブランドセーフティーが確保されたデジタル環境における広告目標の達成に取り組むことができます。McKinsey & Companyによると、広告主の約70%がRMNのパフォーマンスは他のチャネルのパフォーマンスに比べて大幅に優れている、またはやや優れていると回答しています。また、リテールメディアは、小売業者のサイトからオプトインされたファーストパーティーデータに基づいて関連性のある商品やブランドを表示することで、消費者にもメリットをもたらします。

 リテールメディアのテクノロジーを提供するパートナーが各社違うように、小売業者もさまざまです。Criteoが目指しているのは、それぞれの小売業者のニーズに合わせられる柔軟性を実現し、各社にとって最も適切な収益化を実現できるプラットフォームを構築することです。Criteoは、各小売業者のRMNを複数取りまとめて広告主に提供することから、代理店やブランドからの需要をセルフサービスで小売業者にもたらすことまで、あらゆる小売業者の戦略とニーズに合わせてソリューションをカスタマイズすることができます。

 RMNは一夜にして構築できるものではありません。小売業者は、新しい課金の仕組みなどの全く新しいビジネスモデルを理解して構築し、業務を刷新しなければなりません。いったん自社のRMNが軌道に乗ったら、その新たな収益源から得た収益を運用コストやイノベーションに充てることができますが、まずはRMNを構築する必要があります。

 この類のビジネスの創出において、小売業者は多くの場合、新しいテクノロジーのほか、新しいチームも必要になります。そうした課題は大抵、必要なインフラと専門知識を提供できる広告テクノロジーパートナーと連携することで解決できます。

 それによって、リテールメディアテクノロジーの構築を全て社内で行う場合と比べて、ローンチまでの時間が短縮されます。McKinseyは、「広告主はマネージドサービスの能力を期待している可能性があり、小売業者はテクノロジーパートナー、コンテンツパートナー、セールスパートナー、キャンペーン企画/購買パートナー、レポート/測定パートナーといったマネージドサービスの提供を支援するパートナーからメリットを得られる可能性がある」と述べています。

 テクノロジーパートナーと連携するか独自のネットワークを構築するかにかかわらず、優れたRMNの構築を目指す小売業者には以下のことが必要です。

 広告主にリテールメディアのインベントリーを購入してもらうことが最初のステップです。これは多くの広告主にとって新しいコンセプトであり、小売業者は需要があることを保証するため、ブランドや代理店に対して自社特有のオーディエンスの価値を示すことが重要です。

 小売業者は、リテールメディアのインベントリーを提供することで、新たな機会を通じて広告主との既存の関係を深めることができます。例えば、小売業者がリテールメディアに関してCriteoのようなテクノロジーパートナーと連携すれば、全国規模のメディアを含むブランドや代理店の新たな予算にアクセスできる可能性があります。

 小売業者は、広告主の目標に最も適したインベントリーを検討する必要もあります。これには、小売業者がオンサイトと呼ばれる自社サイト内のインベントリーを供給することだけでなく、外部のメディアとつながることでオフサイトと呼ばれる自社サイト外のインベントリーを追加で供給する可能性も含まれます。

 オフサイトでは、小売業者は自社のファーストパーティーデータを適用することで、ブランドがリテールメディアキャンペーンを拡大したり、オンサイトとオフサイト両方を含むショッピングジャーニー全体に関する包括的なレポートを利用したりするのを支援できます。

 さまざまな小売業者のリテールメディア広告枠、多様な広告フォーマット、以前からあるデジタルパブリッシャーの広告面といった多様な広告枠を横断して購入できるようにすることで広告主の購入プロセスを簡素化できるテクノロジーパートナーと連携すれば、オープンインターネット上(いわゆる大手デジタルプラットフォーマーによって囲い込まれた領域であるウォールドガーデンの外にある、オープンなインターネット領域)でリテールメディアを展開する小売業者のECサイト上の広告や以前からあるパブリッシャーのメディア上での広告を一気通貫してキャンペーンの管理や測定を行いたいという広告主の関心をとらえることができるでしょう。

 広告主がリテールメディアキャンペーンを利用するのは、そうしたキャンペーンがブランディングとパフォーマンスの両方の成果を向上させるからです。しかし、消費者のショッピングジャーニー全体でブランド固有の目標を達成できるようにするためには、小売業者は多様な広告フォーマットを提供する必要があります。

 例えば、消費財の広告主は、商品のスポンサード広告を利用すれば迅速なコンバージョンを促すことができるかもしれません。一方、電化製品ブランドは、新しいノートPCを購入しようとしている消費者に対し、その準備が整う前にコンバージョンをせかすよりも、オンサイトまたはオフサイトのディスプレイ広告を利用することで、適切なエンゲージメントを維持することができます。

 優れたリテールメディアキャンペーンを行うために、小売業者はエンゲージメントに加えて、明確で充実したレポートによって、包括的な測定結果を広告主に提供する必要があります。例えば、キャンペーンごと、カテゴリーごと、商品ごと、または複数の小売業者でキャンペーンを実施している場合は小売業者ごとに、測定指標を閲覧できる集計ビューもその一つです。

 広告主は、オンラインとオフラインの両方の売り上げをキャンペーンに直接結び付け、一気通貫でそれらを展開できるパートナーを通じて、ワンストップで全てのレポートを閲覧することで広告の効率を最大限に高めることを望んでいます。

 RMNを構築し、優れたリテールメディアキャンペーンを展開するには、ブランドと小売業者の両方が柔軟性を備える必要があります。ブランドが求めているのは、(できれば一つに集約した場所から)予算を動かしてキャンペーンを迅速に最適化するためのコントロールと柔軟性を提供するリテールメディアソリューションです。

 小売業者は、リテールメディアのテクノロジーパートナーが提供できるサービスに柔軟性を求めています。広告テクノロジーパートナーにRMN全体の運用を任せたり、テクノロジーとマネージドサービスのリソースを組み合わせて活用したりしている小売業者もいます。

 上記のポイントは、小売業者がリテールメディアビジネスを始めるに当たって必要な「参入コスト」でしかありません。

 Criteoは6年以上にわたってリテールメディアビジネスに大規模に携わり、現在ではグローバルで1600社の広告主クライアントを有しており、小売業者のために新たな需要を開拓するとともに、小売業者と広告主の両方のニーズを満たす最も適切なエンゲージメントモデルを提供しています。大企業においてもニッチな小売業者においてもRMNを推進しており、今後もコマースメディアプラットフォームに関するソリューションを発展させていきます。

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