2030年にピーク–「成熟の時代」に入るEC市場を活性化させる4つのシナリオ

今回は「2030年にピーク–「成熟の時代」に入るEC市場を活性化させる4つのシナリオ」についてご紹介します。

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 オンラインのマーケットプレイスプラットフォームをSaaSとして提供するMirakl(本社はフランス)は1月30日、国内の消費者向け電子商取引(BtoC EC)市場の調査結果を発表した。同社によれば、日本のBtoC EC市場は、いまだ成長過程にありつつも規模拡大は鈍化しつつある。

 Mirakl 代表取締役社長 佐藤恭平氏は「かつて国内でECを始めるには、既存の大手ECの販売業者、自社ECサイト運営の二つだが、どちらも一長一短。我々は価値観や品質基準、世界観に共鳴してもらえる販売事業者さんを募り、(顧客・分野別のマーケットプレイスを)“第三の選択肢”として日本市場に提供する」と同社のSaaSをアピールした。

 国内の物販系BtoC EC市場だが、経済産業省が2022年8月12日に発表した「電子商取引に関する市場調査」結果によれば、2013年の5兆9931億円から右肩上がりで成長し、2020年は12兆2333億円、2021年は13兆2865億円に達した。2020年はコロナ禍の影響もあり、EC化も前年の6.76%から8.08%、2021年も8.78%まで広まっている。

 同様の情報を種類別で見ると、「食品、飲料、酒類」は2兆5199億円(EC化率は3.77%)、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器など」は2兆4584億円(同38.13%)、「衣類、服装雑貨など」は2兆4279億円(同21.15%)、「生活雑貨、家具、インテリア」は2兆2752億円(同28.25%)と市場規模の72.9%を占める4種が2兆円超え。

 同調査は年平均成長率も算出しており、2016~2021年の年平均成長率(CAGR)は10.67%。先に挙げた種類別にCAGRを見ると、「食品、飲料、酒類」が11.68%、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器など」が11.48%、「生活雑貨、家具、インテリア」が11%と3つの種類が平均を上回った(「衣類、服装雑貨など」のCAGRは9.68%)。いずれもコロナ禍による巣ごもり需要と思われる。

 これらの結果を踏まえてデジタルコマース総合研究所 代表取締役 本谷知彦氏は「2030年前後にピークを迎える予想が成り立つ。BtoC EC市場は成長の時代を終え、成熟の時代を迎える」と指摘した。

 国内BtoC EC市場を活性化させる手法として、デジタルコマース総合研究所は4つのシナリオを提示した。

 一つめのシナリオは、大手ECサイトの流通取引総額増加によるEC市場の拡大。一見すると順当に見えるが、本谷氏は「(経済産業省が市場の健全化発展を目的に2021年2月1日に施行した)デジタルプラットフォーム取引透明化法など規制も厳しくなり、大手ECサイトの市場比率が7割を超えているので、このシナリオの実現性は乏しい」と推察する。

 二つめのシナリオが新大手ECサイトの出現、または大手ECサイトの大型化。短期間で急成長した中国のPinduoduo(ピンドゥオドゥオ)を例に可能性を提示しつつも、本谷氏は「(ECサイトの)プラットフォームビジネスは、ネットワーク外部性(ネットワーク効果)が作用して拡大するビジネスモデルと言われるが、人気のあるECサイトに集中しやすく、このシナリオも難しい」と実現性を否定した。

 三つめのシナリオは「Direct to Consumer(DtoC)」ECの隆盛。メーカーが直接消費者に商品やサービスを提供するDtoCは、サービス品質が低下しつつある大手ECサイトへの反感から注目を集めているが、本谷氏は「(国内は)小さなプレーヤーが頑張っている段階。(製品力や知見、組織体制の準備を鑑みると実施できるメーカーも限られ)大手ECサイトを上回る一大勢力となるには、もう少し時間を要する」とDtoC ECの課題を掲げた。

 最後となる四つめのシナリオは、“ミディアムプラットフォーマー”の台頭。既存の大手ECサイト以外の企業がEC事業に参入するシナリオだが、本谷氏は「一番可能性がある。MD(マーチャンダイズ)を容易に強化できるソリューションがあれば、新たな選択肢としての現実性は高い」と語る。

 さまざまな企業や個人が製品やサービスを提供するマーケットプレイスは日本でもなじみのあるものだが、Miraklの佐藤氏は以下のように語って、自社のオンラインマーケットプレイスプラットフォームサービスの有用性を強調した。

 「ミディアムプラットフォーマーとの適合率が非常に高く、グローバルで実証されエンタープライズに対応するテクノロジー。マーケットプレイスも世界各国で多様な取り組みが行われている。また、立ち上げから運営まで支援する150人超のエキスパートも魅力の一つ。(MiraklでEC事業を行う)販売事業社も5万社以上でエコシステムを形成している」

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