NEC、倉庫での作業内容やレイアウト変化に対応する「ロボット制御AI」開発

今回は「NEC、倉庫での作業内容やレイアウト変化に対応する「ロボット制御AI」開発」についてご紹介します。

関連ワード (ビッグデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 NECは、物流倉庫や工場などにおける作業内容やレイアウトの変化に対応する「ロボット制御AI」を開発した。

 ロボット制御AIは、「世界モデル」という技術をハンドリングに応用したもので、過去に試したことのない作業条件でも失敗の少ない最適な動作を自律生成し、実行できるという。事前学習の時間を大幅に短縮するとともに、扱う物品や作業レイアウトといった環境の変化に柔軟に対応することが可能。NECは今後、物流倉庫や工場などのロボット作業で同技術の検証を進め、2024年度中の実用化を目指す。

 世界モデルとは、ある行動の結果として実世界で何が起こるのかを、現実に試すことなく予測できるようにする技術。行動の結果として将来どうなるかを想像して適切に行動するには、ロボットの場合常識を網羅的にプログラムする必要があり、ロボットの自律制御における課題となっている。

 具体的には、事前に同じ状態から同じ行動をした試行データを用いて、動作パターンを最適化する必要がある。そのため、さまざまな状況に臨機応変に対処するには、あらゆるパターンの状況や行動のデータを網羅的に取得しておく必要がある。

 世界モデルは、ロボットが実世界の構造や常識を理解して、将来を想像しながら行動を決定する、自律制御実現の核となる技術として期待されている。

 今回開発した技術は、実行時の作業条件に応じて成功率の高い動作を生成できる。乱雑に置かれたさまざまな種類の物品を箱に整列して詰めるハンドリング作業などに対して、従来行われてきたロボット制御則を学習する機械学習手法では、学習した作業条件パターンに依存して動作候補が生成されるため、実際の作業条件によっては不適切な動作候補が生成・実行されることがあった。そのため、作業成功率は約70%程度にとどまっていたという。

 しかし今回開発した技術では、ロボット制御則の学習に加え、「動作予測モデル」を事前学習する。このモデルは、ある作業の実行に必要なロボット動作を入力した時に、その作業の成否を予測できる世界モデル。

 実際にハンドリング作業を行う際には、学習済みの制御則によって作業条件の特徴に合わせて生成された複数の動作候補について、実行に移す直前に動作予測モデルを用いて動作の成否を予測し、成功率の高い動作候補を算出・実行する。これにより、現場で起こり得る作業条件の網羅的な学習なしに、現場で活用可能なレベルの安定性である約95%の作業成功率が達成できるとシミュレーションにより確認した。

 またNECは、2つの方法で事前学習の短期化を実現している。1つ目は動作予測モデルを導入することで、網羅的な学習を不要とした。2つ目は、動作予測モデルの学習状況に応じて、次に学習すべき物品の配置や作業などのパターンを設定する能動学習手法を導入した。これにより、動作予測モデルとロボット制御則をより少ないパターン数で学習することが可能となった。具体的には、学習する際に数万パターン以上の事前学習が必要で、その学習に数カ月以上を要すると想定されるケースが、数百パターン程度の学習で対応でき、事前学習の時間を数日に短縮することが可能になるという。

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