オープンソースはAI分野の主役であるべきだ
今回は「オープンソースはAI分野の主役であるべきだ」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
ある意味では、オープンソースと人工知能(AI)は一緒に生まれたとも言える。
1971年には、AIと聞けば、多くの人がSF作家であるIsaac Asimov氏の「ロボット工学三原則」を思い浮かべただろう。しかし、同年にRichard M. Stallman氏(RMSと呼ばれることが多い)がマサチューセッツ工科大学(MIT)のAI研究所に参加したときには、AIはすでに現実的な研究テーマだった。その後、プロプライエタリーなソフトウェアが台頭し始めると、Stallman氏は「フリーソフトウェア」という過激なアイデアを生み出すことになる。そしてそのさらに数十年後、このコンセプトはオープンソースへと姿を変え、現代のAIを生み出す基盤になった。
現代のAIに繋がるムーブメントのスタート地点は、Asimov氏ではなく、計算機科学者のAlan Turing氏だ。いわゆる「チューリングテスト」が最初に提案されたのは、Turing氏が1950年に発表した論文である「Computing Machine and Intelligence」だった。簡単に言えば、このテストは、機械が人間と対話して、話し相手は人間だと思わせることができれば、その機械には知性があると見なせるというものだ。
一部の人は、今日のAIはその水準に達していると考えている。筆者はその意見には同意できないが、その方向に向かっているのは明らかだろう。
「人工知能」(Artificial Inteligence)という言葉は、1960年に計算機科学者のJohn McCarthy氏によって作られたもので、同氏はLisp言語も生み出した。 計算機科学者のPaul Graham氏は、McCarthy氏の業績について、「彼がプログラミングに対してやったことは、ユークリッドが幾何学に対してやったことと同じだ。同氏は、ひと握りの演算子と関数の単純な記法によって、1つのプログラミング言語を丸ごと構築する方法を示した」と述べている。
データとコードが混在するLispは、AIのための最初の言語となった。Lispはまた、Stallman氏が最初に愛した言語でもある。
では、1980年代に「GNU-ChatGPT」が生まれなかったのは何故だろうか。それにはいろいろな説がある。筆者が気に入っている説明の1つは、初期のAI研究は、アイデアは正しかったがまだ時機が到来しておらず、ハードウェアがその任に堪えなかったというものだ。当時はまだ、本物のAIを実現するために必要不可欠な、ビッグデータなどのほかの要素技術がなかった。AIと機械学習に必要とされる、コンピュータークラスター上で大量のデータを保存し、処理するための道具を提供したのが、「Hadoop」「Spark」「Cassandra」などのオープンソースプロジェクトだった。大規模言語モデルは、大量のデータと、データに高速にアクセスする手段がなければ機能しない。