「NeXTStep」を懐かしむ人にお勧めのオープンソースOS「Haiku」
今回は「「NeXTStep」を懐かしむ人にお勧めのオープンソースOS「Haiku」」についてご紹介します。
関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
Steve Jobs氏がAppleに戻ったのは、同社が「NeXTStep」プラットフォームとの厳しい競争にさらされていたときのことだ。「NeXTStep」は、Jobs氏が作ったもう1つの企業であるNeXTが開発したOSだ。AppleがNeXTとの競争ではなく、同社の買収を選んだことをきっかけに、Jobs氏はAppleに返り咲いた。
その頃、Jobs氏がAppleを離れた後に同社の製品担当プレジデントを務めていたJean-Louis Gassee氏もまた、Appleを離れてBeと呼ばれる企業を設立し、市場でもっとも高速なディスクI/O、レンダリング、カーネルを持つOSを目指して「BeOS」を開発していた。
Appleは競争を避けてNeXTを買収し、NeXTStepに修正を加えたものが後に「Mac OS X」と「iPhone OS 1」になった。
では、BeOSはどうなったのだろうか。このOSは、今でも「Haiku Project」の中に生きている。
筆者は、大昔にHaikuを初めて試したとき、「AfterStep」に似たインターフェースを選んだこのOSに感激したものだ。私はその後、当時お気に入りだったウィンドウマネージャーであるAfterStepが、NeXTStepを真似たものであることを知った。つまりその関係は、ある意味で1つの輪を描いていたわけだ。
Haiku Projectが最初にリリースされたのは2009年9月14日のことだ。驚くべきは、このOSがまだBeta 4に到達したところだということだろう。つまり、このOSはリリースから14年近く経った今でも、ベータ版から脱することができていないのだ。しかし、有志によって進められているプロジェクトではそういうこともある。逆に当然とも言えるのは、14年を経たHaikuは非常に安定していて極めて高速だということだ。
ただしHaikuは、誰にでも勧められるOSではない。「Linux」ユーザーでさえ、このOSを好きになれるとは限らないだろう。Haikuは、NeXTStepかAfterStepを使ったことがあり、ルック&フィールは少し古くても、これまでに経験したどれよりも高速なOSを求めている人向けのものだ。
では、(素晴らしいNeXTStep風のUI以外に)Haikuの良いところはどこだろうか。まずこのOSは、スピード第一で設計され、カスタマイズされたカーネルを持っているのに加え、素早い開発を可能にするオブジェクト指向のAPIが豊富に用意されている。また、インデックス化されたメタデータに対応したデータベース的なファイルシステムを持ち、統一されたインターフェースを備えている。
Haiku B4は、新旧を問わずIntel、Appleシリコン、Armなどをベースにしたほとんどのハードウェアにインストールできる。筆者がHaiku B4を「Oracle VM VirtualBox」を使った仮想マシンにインストールしてみたところ、長年の間に筆者が使ってきたものの中でも屈指の高速なOSであることが分かった。
もちろんHaikuは、Linuxや「macOS」、「Windows」を相手に市場で戦えるようなOSではないし、そんなことが起きている気配はない。しかしこのOSは、昔ながらのやり方や、人と違うことが好きな人のためのOS、あるいはとにかくただ楽しむための手段を求めている人にはいいかもしれない。