エイピアCEOが語る、初の通期黒字化と業績好調の背景
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Appier Groupは2月、2022年度第4四半期と2022年度通期の決算を発表。通期の売上収益は194億円、前年比収益成長率は53%増となり、当初の計画を一年前倒しで通期初の黒字化となった。
業績好調の背景について、代表取締役で最高経営責任者(CEO)のChih-Han Yu(チハン・ユー)氏は、「さまざまな要素があるが、1つはイノベーションがうまくいったと捉えている。新規顧客を獲得する一方で、既存顧客もしっかりと維持できている。また、新たな地域と業種の拡大にも成功し、獲得可能な最大市場規模(TAM)を大幅に拡大できた。ファーストパーティーデータや人工知能(AI)の活用といった最近の潮流が当社の継続的な事業推進の追い風になった」と振り返る。
同社は、高度な予測AIを実装したマーケティング製品をSaaSで提供するベンダー。「ソフトウェアをよりスマートに、AIでROI(費用対効果)を向上させる」というミッションの下、企業のマーケティング活動を包括的に支援している。
Yu氏はまた、「製品間の強固なシナジー、アップセルおよびクロスセル戦略が功を奏した」といい、例えば、顧客データ基盤(CDP)「AIRIS」とチャットボット「BotBonnie」、マーケティングオートメーション(MA)基盤「AIQUA」が連携し、リアルタイムにデータを共有することで非常に良いシナジー効果を発揮し、生産性を高めていると話す。
ほかにも、AIを用いて広告キーワードを自動生成する機能の提供を始めている。広告キャンペーンを計画する際、マーケターが一人でキーワードを考えるのも限界があり、かなりの労力と時間を費やしていたが、これをユーザーの興味・行動データを学習したジェネレーティブAI(生成系AI)モデルで自動化する。
顧客維持については、「当社のソリューションはAIを主体としているため、顧客が当社の製品をより多く使用すると、生成されるデータの数が増える。そうすると、当社のAIアルゴリズムがそのデータを学習して、より精度の高いものになっていく。さらに、顧客が当社製品をより多く使用する、あるいは異なる製品間で使用すると、それに伴ってデータが増える。そうすることで顧客の満足度が高まり、顧客の維持につながっている」(同氏)と好循環の仕組みを説明する。
顧客基盤が地域・業種の両面で継続的に拡大している。2年前に進出した米国と欧州・中東・アフリカ(EMEA)は2022年度の売上収益が前年比7倍を上回り、引き続き最も大きなTAMとして、主要な成長ドライバーとなっている。日本を含む北東アジアは大きな収益基盤を持ちながら高い成長を続けているという。
また、新たに注力する業種であるデジタルコンテンツ(ゲーム、エンターテインメント、Eブック、オンラインストリーミング)分野が前期比2倍超の力強い成長を遂げた。
Yu氏は、同社AI技術の特徴を「世の中にあるさまざまな素晴らしいアルゴリズムをきちんと製品に落とし込んでいるという点にある。機械学習の専門家を多く抱えることで実現できていると自信を持っている」と話す。
今後の事業戦略については、今後も地域と業種の拡大を図っていく姿勢を示すとともに、AIをはじめとする製品イノベーションを継続していくとする。Yu氏は、「これまでAIは人間の意思決定を支援するものだったのが、今後はそれだけにとどまらず、人の創造性やアイデアを補完するようになる。(その結果)AIが使われる市場規模の広がりなどといった大きな変化が起き、人がAIをもっと頼ることでより良いアイデアが生まれることも見込まれる」と昨今注目される生成系AIの飛躍的な成長とその大きな可能性にも期待を寄せた。