3億人の仕事を奪うかもしれないAIの興隆、巨大IT企業も対応進める

今回は「3億人の仕事を奪うかもしれないAIの興隆、巨大IT企業も対応進める」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 人工知能(AI)が最近、ちまたの話題をさらっている。「ChatGPT」のような生成型AIチャットボットは科学関連の学術論文を要約したり、不完全なコードをデバッグしたり、ユーザーの指示に従って「Microsoft Excel」の数式を記述したりできる。では、AIはどれだけ多くの人々の仕事に影響を与えるのだろうか。投資銀行のGoldman Sachsは、およそ3億人分の仕事がAIによって肩代わりされると考えている。

 同社は、約3億人の雇用が失われることもあり得るとし、われわれの知っている仕事というものがAIテクノロジーによって根底から揺さぶられる可能性を示唆した。過去の革命的テクノロジーと同様、AIは企業の特定業務を自動化してコストを削減し、企業を成長を後押しすることができる。

 世界経済に関する同社のリサーチレポートには、米国の労働市場全体の25~50%の業務が自動化される可能性があり、特に事務および管理支援職(46%)や、法務職(44%)、建築設計およびエンジニアリング職(37%)の仕事がAIに取って代わられる可能性が高いと記されている。一方、AIの影響が最も小さい職は、建設関連(6%)や、設置および修理(4%)、メンテナンス(1%)といった労働集約型のものだとされている。

 また、世界の労働力の18%はAIによって自動化される可能性があると結論付けられ、米国や英国、日本、香港などでは、その割合が25%以上になるとされている。

 一方で、従業員とAIの間にバランスのとれた互恵的な関係が生み出される可能性も示されており、一部が自動化される仕事に従事している従業員は、手に入れた自由時間を使うことで作業の生産性を高められるだろうとも記されている。

 AIによって職を奪われた場合にはどうなるのだろうか。Goldman Sachsの予想によると、職を奪われた従業員らはAIの大々的な導入で生み出された別の仕事で再び働くことになるという。また、こうした新規雇用の創出や、職を奪われなかった従業員らの生産性の向上に加え、大幅な人件費削減が重なることで、経済成長が大幅に進む可能性がある。

 ITのイノベーションがソフトウェア開発者に対する需要を生み出し、収入の増加とともに、教育の必要性を直接的に生み出した結果、高等教育に従事するプロフェッショナルの需要につながった波及効果を考えてほしい。とはいえ、目を離すことはできない状況だ。

 AIが3億人の雇用を奪うかもしれないという可能性は、労働者にとっても、IT業界の重鎮にとっても最大の関心事だ。最近では、Steve Wozniak氏やRachel Bronson氏、Elon Musk氏のような業界の有名人たちが、AIの開発を一時中断することを求める公開書簡に署名している。この公開書簡は、人間社会にとってAIの進歩があまりにも早く進みすぎており、今ある社会をひっくり返してしまう可能性があるという恐怖から出たものだ。

 また5月上旬には、大手IT企業であるIBMが、約7800人の雇用をAIで置き換える予定であり、最初にその立場を追われるのは人事担当者になることを明らかにした。IT業界の多くの企業が、AI競争に勝利するために、先を争って会社の目標を変更し、人員を削減している。

 AmazonとMetaは、AI技術によるイノベーションを進めるためか、何千人もの従業員をレイオフし、一部のプロジェクトの優先度を下げるなどしている。しかしその目的は、もう1つのChatGPTを作ることではない。両社は、生成AIの力を使って、広告やショッピングから得られる体験を大きく変革しようとしており、そのプロセスの一環として従業員を解雇していると筆者は考えている。

 3月には、米商工会議所が、雇用や、国や、経済の安全保障を確保するために、連邦政府のレベルでAIの規制を強化するよう呼びかけた。生成AIは、人間がこれまで長い歴史の中で生み出してきた中でも、最も大きく社会を変える技術だ。そして、チャットボットは本物の知性を備えているわけではないにもかかわらず、日々この世界を変えつつある。

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