SAPジャパンは「GROW with SAP」で今度こそ中堅中小企業の市場へ入り込めるか
今回は「SAPジャパンは「GROW with SAP」で今度こそ中堅中小企業の市場へ入り込めるか」についてご紹介します。
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SAPジャパンが中堅中小企業向けの統合基幹業務システム(ERP)ソリューション「GROW with SAP」を国内で提供開始した。同社にとっては、これまでなかなか入り込めなかった市場だ。今度こそという勝算はあるのか。その根拠は何か。
GROW with SAPは独SAPがこの3月に発表した新製品で、同社CEOのChristian Klein(クリスチャン・クライン)氏は「中堅中小企業が将来にわたる成功のために必要な俊敏性および革新性を提供したい」と、中堅中小企業の成長を促すソリューションであることを強調していた。SAPジャパンもこれを受けて4月6日に抄訳を発表していたが、国内でも提供開始ということで7月12日にオンラインで記者説明会を開いた。
会見の内容は速報記事をご覧いただくとして、筆者がこの会見に当たって問題意識として抱いていたのは、「SAPジャパンが今回の新サービスで中堅中小企業の市場に入り込んでいくことができるか」だ。というのは、同社は1990年代初頭から中堅中小企業の市場に対して、幾度も新たな戦略を打ち出して挑戦してきたものの、なかなか入り込めずに今日まで来たという印象があるからだ。
従って、今回の会見の質疑応答においても、「SAPの中堅中小企業向け事業は、特に日本ではこれまで苦労してきた印象があるが、新ソリューションの勝算はどうか。あるならば、その根拠をうかがいたい」と単刀直入に聞いてみた。
その返答の前に、GROW with SAPがどのようなソリューションか、基本的なところだけ紹介しておこう。
GROW with SAPは図1に示すように、「ソリューションコンポーネント」「定着化および加速化のためのサービス」「コミュニティーとラーニング」といった3つの領域からなり、クラウドERP「SAP S/4HANA Cloud, public edition」、すなわちSAPの最新ERP「S/4HANA」のパブリッククラウドサービス版を軸として、導入促進に向けたさまざまなサービスを組み合わせて、「中堅中小企業がクラウドERPを短期間で導入できるようにしたソリューション」というのが触れ込みだ。
SAPジャパンでGROW with SAPの展開を担うエンタープライズクラウド事業本部 S/4HANA Public Cloud事業部 事業部長の阿部洋介氏は新サービスについて、「日本の中堅中小企業は今、深刻な人手不足に直面しており、その対策としてデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が求められている。そのニーズに応えるためには、ERPを刷新するにも人手をかけず、より簡単に運用でき、より深く活用できるソリューションが不可欠だ。それがまさしくGROW with SAPだ」と強調した。