セールスフォース、国内データセンターによるリアルタイムCRMを提供

今回は「セールスフォース、国内データセンターによるリアルタイムCRMを提供」についてご紹介します。

関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 セールスフォース・ジャパンは7月19日、リアルタイムな顧客関係管理(CRM)を実現するクラウドサービス「Salesforce Data Cloud」(Data Cloud)と「Marketing Cloud Engagement」の国内提供を2024年1月までに開始すると発表した。両サービスの提供基盤となる同社IaaSの「Hyperforce」としては、Amazon Web Services(AWS)の東京リージョンを用いるとしている。

 Data Cloudは、2022年9月の「Dreamforce」カンファレンスで発表され、「世界初のリアルタイムCRMを支えるデータプラットフォーム」をコンセプトとする。当初は「Salesforce Genie」の名称だったが、その後「Salesforce CDP」に改称され、さらにData Cloudに改称されている。

 Data Cloudは、深い顧客理解を通じた関係構築や体験の提供を行う「Customer 360」とネイティブに統合され、ウェブやモバイルなどのあらゆるデータソースとコネクター経由で接続し、膨大なデータであっても高信頼性や高可用性、俊敏性などを担保しながら、安定的なCRMのためのデータ活用を実現するという。

 Marketing Cloud Engagementは、AIを利用して顧客ごとに最適化した方法や接点、タイミングを通じたマーケティング施策を実行するサービスになる。開封やクリック、アクセスといったマーケティング施策に対する顧客のさまざまな行動に応じて、施策をさらに最適化させながら顧客との関係性を強化することにより、マーケティングにおける投資対効果を改善していけるとした。

 Data CloudとMarketing Cloud Engagementの提供基盤となるHyperforceは、2020年のDreamforceで発表された。AWSやGoogle Cloud、Microsoftの「Azure」などのハイパースケーラー各社のデータセンターで稼働するセールスフォースのサービスに最適化されたIaaS環境になる。現在までに12カ国で提供され、今後新たに5カ国での提供が計画されている。同日記者会見した専務執行役員 カスタマーサクセス統括本部長の宮田要氏は、今回の日本におけるData CloudとMarketing Cloud Engagementの提供基盤では、AWSの東京リージョンを使用して準備を進めていると説明した。

 今回の施策について代表取締役会長 兼 社長の小出伸一氏は、多様かつ大量のデータを活用したリアルタイムなCRMを実現することにより、高度にパーソナライズされた企業との顧客との関係構築を実現にするものだと述べる。

 他方で、そのためにはデータを適切に活用するための信頼性と、セキュリティやコンプライアンス、プライバシー、国や地域に基づくデータ主権(データレジデンシー)が極めて重要になるとし、こうした各種要件を日本で満たすことによって顧客企業に貢献していくと強調した。

 記者会見では、同社が6月に発表した生成AIの新サービス「AI Cloud」についても説明が行われた。米OpenAIが2022年に「ChatGPT」を発表して以降、世界的な生成AIブームが続く状況だが、マーケティング統括本部 プロダクトマーケティング シニアディレクターの松尾吏氏は、同社ではCRM分野で信頼あるAIの提供に2014年から取り組んでいると説明し、予測型AIサービスの「Einstein」では週当たり1兆回以上もの予測処理が実行されているとした。

 生成AI技術の台頭は、予測型AIで進んだ企業のデータ活用を新たな段階に引き上げるものであり、Customer 360など同社サービスにおける膨大なデータに加え、外部のさまざまなデータソースやモデルとも組み合わせられるオープン性や、ユーザーに適切な情報を提示する信頼性といった複雑な要件を担保しなければならないとする。

 松尾氏は、AI Cloudではこうした要件を担保して、ユーザーのビジネスに資する洞察を提供するとし、特に信頼性については「Einstein GPT Trust Layer」を用いて、ユーザー環境から安全にデータを取得し、堅固な同社のクラウド環境でデータをマスキングして処理を実行する。ここまででのユーザーデータを非保持とし、さらにAIが生成したプロンプトなどについて有害性などの検査を徹底し、監査のための履歴を取得して、ユーザーにアウトプットを提供していると説明した。

 同氏は、「AI Cloudは、企業のさまざまなAI戦略に対応するオープンかつ信頼されるアーキテクチャーであり、ユーザーのあらゆるビジネスに合わせた生成AIの活用に貢献できる」と述べた。

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